保育士や教師のブラック労働を救うのはIT化

黒坂岳央です。

子供を園や学校に入れ、人間関係も教師や保護者同士が多くなった自分の視点から見て、保育士や教師はとても大変な労働環境に置かれていると感じる事が多い。宿題やテストの採点、土曜日を潰しての夏祭りやその他イベントの開催。会議に出席して結論を出したり、児童一人ひとりの毎日の連絡帳執筆までこなす。保育士や教師一人にかかる負担の大きさはこちらが心配になってしまうほどだ。

先日、たまたま子連れの保育士と図書館で会って会話したのだが、帰宅は遅く祝日も疲れて寝るだけだと笑いながらいっていた。

昨今、保育士や教師のブラック労働が問題視されている。重い上にあまりに広い責任を背負わされている状況が続いているのだ。個人的にDX化、つまりデジタル化の推進が大きく改善に寄与し、これは保護者にもプラスの影響を与えるだろう。

junce/iStock

コミュニケーションをデジタル化する

保育士や教師は保護者との連絡はほぼすべてがアナログである。日々の記録を記した連絡帳、保護者を集めての説明会、児童の活動の様子をまとめた週報など、すべて手書きや対面だ。まずはこうしたコミュニケーションをデジタル化するのだ。

連絡帳の記録を手書きからWebへのタイピング入力にするだけでかなり効率化が測れるだろう。タイピング入力は手書き速度を遥かに凌駕するためだ。

週報も丸文字でかわいい手書きのイラストがふんだんに使われ、見ているこちら側は心温まるのだが、制作する側には大きな負担になっているはずだ。これもデジタル化することで大幅な時短になるだろう。

また、保護者を集めての説明会は、事前に説明の様子を動画撮影をしてLineグループなどで公開すれば、教師が土曜日にわざわざ出勤する必要はなくなる上、保護者の父母間での再伝達も不要になる。

コミュニケーションをデジタル化するだけでも相当に効率化ができ、保育士や教師の大きな負担になっている業務から開放されないだろうか。

業務の外注化を

また、学校や園では運動会や文化祭など保護者が集まってのイベントがよくある。誰しも我が子の雄姿を記録に収めたいということで、一眼レフやビデオカメラを持って場所を取り合う。トラブルが起きないように教師が撮影コーナーを設け、撮影の順番をリードする。これも大変な苦労になっている。

そこで撮影はいっそ、外部のプロカメラマンを外注すればいい。写真やビデオをプロのカメラマンにとってもらい、学校がデータを買い取って保護者に販売すればいいのだ。これにより、場所取りや管理の手間から開放され、学校も新たな財源を確保でき、保護者も場所を奪い合うことがなくなり、鑑賞に集中できる。まさしく三方よしである。

確保した財源は教師の労働を外注することに使えば、本来集中するべき業務にリソースを投下でき、労働時間も減らすことができるのではないだろうか。

自分の子供の保護者はデジタルに慣れ親しんでいるので、DX化への対応はスムーズにいくはずだ。保護者の中には20代後半の親もいる。だが、現場の運用の多くは昭和と変わらないものはまだまだ多い。デジタル運用を積極的に取り入れ、効率化を図ることは保育士や教師が置かれた長時間労働を開放してくれると思うのだ。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。