日本の賃金があがらず、インフレが来た時系列を説明
みなさんはいつから日本の円安が始まったと思ってますか?
実はコロナが始まる前は1ドル100円代だったのですよ。ビックリしたでしょ。
で、いつから急にこんな円安になったのか。グラフにするとよく分かります。
2022年の初頭から円安に振れてきて
3月4日くらいから怒濤の円安
このとき、世界では何が起きていたのか。そして日本ではなにがあったか。
コロナの規制がなくなったのは欧米ではワクチンが普及した2021年の夏です。東京オリンピックの閉会式で日本は無観客。フランスではノーマスクで観客がたくさん集まっていて驚いた人も多いでしょう。2021年の秋には規制がなくなりました。
アメリカの景気です。
コロナ真っ盛りの2020年に平均時給が上がったのは、現業職がみんな解雇されてオンラインで仕事ができるホワイトカラーだけになったからなので、いったん2021年の春には現業職が復帰してきて時給が下がります。しかし2022年の初頭からコロナから解放されて消費が爆発!!!
2022年の頭には賃金が暴騰してインフレが始まりました
そのピークは2022年の夏前です。コロナ開放のマインドの上昇で旅行するわ、外食するわ、車買うわ、遊びに行くわで景気が爆発。同時にインフレでしたのでアメリカはインフレを抑えるために金利を上げます。金利を上げると銀行はお金を貸しづらくなるのでインフレは止まるのが普通です。
全世界がコロナからの開放に沸く中、日本と中国だけが鎖国
東京オリンピックが終わった2021年の秋。日本はゼロコロナになります。GoToトラベルも行われました。先進国の大半はここでコロナ規制を解除したわけですが、日本はまだ第6波が来るかも・・・・ということで規制は解除しません。韓国でさえ2022年の3月に解除したのにです。
2022年の初頭にはオミクロンの爆発がありますが、ワクチンには感染防止効果はなく、なにをしても感染が広がるが致死率は大きく下がったため、世界各国は「もう感染対策をしても無駄」ということになり、規制を解除したわけです。日本と同じ感染拡大推移の韓国でさえ2022年の3月にはコロナの規制が撤廃されました。
中国の場合はゼロコロナ政策が正しいという事を示す習近平のメンツだったわけですが、なぜ日本は感染対策として鎖国を続けたのか。それは高齢者層の意志でした。
高齢者層の特に女性(投票率も最も高い)は「コロナの扱いはそのまま」「経済より感染拡大防止を優先しろ」という意向が強く、GoTo政策を行った菅さんは支持率が低下して辞任。高齢者を支持母体とする立憲や共産の左派政党も世界がとっくに諦めたゼロコロナを主張。
しかし一番の戦犯はこの人です。
「やり過ぎるこくらいでちょうど良い」と、日本だけが延々と鎖国を続ける方針を発表。高い支持率を得ることになります。
規制解除した他国とは関係なく続けた時の支持率はめちゃ高!!
ポピュリズムの権化の岸田さんの意図通り、他国が規制解除をしているのに日本だけが鎖国。オミクロンの感染拡大があっても岸田内閣の支持率は50〜60%の高い水準を維持。つまりは
鎖国は大多数の国民の意思
だったわけですね。高齢者ポピュリズム、医療ファシズムといったところです。
好景気に沸く世界各国はインフレを止めるために利上げ
しかし経済音痴の日本の政治家は、世界各国のコロナからの開放による消費拡大を舐めていました。消費拡大と賃金の爆上げ、そしてインフレがはじまると各国とも利上げを行いインフレを冷やそうとします。しかし開国していない日本は景気は低迷したまま。ゼロ金利政策を変更できない。怒濤の円安がスタートします。ドルだけではなく、世界各国の通貨に対して安くなった。日本円と対等なくらい安くなったのはロシアルーブルとわけの分からない経済政策してトルコリラだけです。
このように全ての先進国の通貨に対して円は安くなった。
先進国だけではなく
ベトナムドン
インドネシアルピー
など世界の主要国にたいしても全面円安です。
為替レートは金利だけで決まるものでは無く、経済成長力、国際競争力等ファンダメンタルズに基づいて決まります。要するに
1 世界が好景気に沸いているのに日本だけが鎖国
2 鎖国して景気が悪いので金利を上げられない
3 バカ鎖国を続ければ経済はどんどん悪化する
4 GDPあたりで突出した国債残高があるので金利を上げられない
ということが世界中に知れ渡り、いまの円安に至っていると考えられます。国債残高はいまや
世界で突出。あまりに多いので金利を上げると
2%くらいで日銀は債務超過になり信用を失い円はさらに下がってしまう。アメリカの金利が5%なので永遠に金利差があるうちは円安
ということになりました。
コロナからの開放景気は数ヶ月でおわり・・・・
コロナからの開放されたマインドでの消費拡大は数ヶ月で沈静化しましたが、各国ではその数ヶ月で賃金が暴騰した。アメリカでは毎月数%ずつ複利で賃金が上がったわけです。同時にインフレになり、沈静化したいまは高い物価で逆に生活が苦しくなっています。そこでいまだに高い金利でインフレを押さえようとしているわけです。
日本が開国した2023年にはコロナからの開放景気はとっくに終わり、世界の価格高騰、インフレの洗礼をモロに浴びます。
開国を1年半も遅らせて賃金は上がらずインフレだけ来た
ということになります。前述のように韓国は2022年の3月に規制を解除したので日本はこの間に最低賃金で韓国に抜かれました。
今思えば、2021年の東京オリンピックの後のゼロコロナの時に規制解除していれば、開放感から消費は拡大し、日本の賃金は上昇しました。海外からも物凄い数のインバウンドが押し寄せたはず。いまも多いですがおそらく熱量ががさらにもっと高かったはず。鎖国している間に大きな商談が流れたりしたことも多数あったようです。
高齢者におもねった政治がチャンスを潰した
ともいえるわけです。鎖国についてはどの政治家も反発を恐れて口にできなかった。安倍さんが2類見直しと行った時も叩かれ、GoToで経済を立てなおそうとした菅さんは失脚。とにかく支持率を最重視する岸田さんはコロナ対策では鎖国で高支持率でしたがコロナが終わったら経済もボロボロでいまや瀕死ですね。
結論ですが、日本の賃金が上がらないでインフレだけ来たのは
経済より命
といっていた国民、政治家、医療関係者の責任だと思います。実際には経済より命ではなく「経済より高齢者の安心」であった。女性票を意識して豊洲移転を遅らせた小池百合子と全く同じです。理屈ではなく感情を優先してしまった。
断っておきますが、わたしは基本的にはインフレには賛同します。しかしその前提は他国のように「賃金上昇を伴ったインフレ」に賛同するのであり、賃金が上がらずインフレだけが来るスタグフレーションには賛同しません。なぜならこれからラーメン2000円の時代が来れば、またまた「年金では生きていけない」という声が高まり、政府は支持率確保のためにまたまた国債を発行してバラマキをしようとし、日本の死を早めるからです。
「年金では生きていけない」という人たちには「だってあなたたちが経済より命って言ったんでしょ。それがいまの状況です」と突っぱねるべきだと私は思います。
編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2024年4月17日の記事より転載させていただきました。