日本から香港へ移住した会社経営者に、移住の実際をインタビューしてみた

YiuCheung/iStock

フリーランスや会社経営者は海外に住む方が、税金面・ビジネス面で有利なのではないか?という記事を、これまで書いてきました。

実際にその経験をうかがうため、OWLが香港移住をサポートした会社経営者Aさんが、香港の旧正月休みに一時帰国していたので、移住について話を聞いてみました。

メガベンチャーから起業

――Aさんは、日本ではどのような経歴だったのですか?

Aさん:私は、大学卒業後、いわゆるIT企業に就職、約8年間勤めました。その後、ウェブマーケティングの会社を立ち上げました。

――そのウェブマーケティングの会社は、どれくらいの規模になりましたか?

Aさん:社員は私1人です。

――1人で会社の仕事がまわるのですか?

Aさん:会社には私1人しか正社員はいません。もちろん、作業を私1人でしている訳ではなく、他の人が作業するのですが、私以外は業務委託です。

――なるほど。日本では、正社員は社会保険料が物凄くかかりますし、仕事量が少ないときであっても解雇できませんから、正社員にするデメリットが大きいですよね。

なぜ、香港に移住したのか?

――ここまで合理的なウェブマーケティングの会社を経営してAさんは、どうして香港に移住したのですか?

Aさん:日本国内だけのビジネスではなくグローバルなビジネスに取り組みたい、そのため、まず海外に出たい、そして、英語力を高めていきたいというのがありました。あとは、正直、節税したいというのもありました。

――節税というのは?

Aさん:ここまで日本で経営してきた会社を売却しようかなという気持ちがあります。もし、日本で売却すると売却益に対して約20%の税金がかかります。しかし、海外に出てから売却すれば税金がかかりません。

――ただ、出国税がかかってしまうのでは?

Aさん:幸か不幸か、私が保有している株式の価値が1億円に満たないため、出国税の適用はありません。

移住の準備はどうだったのか?

――移住の準備は大変でしたか?

Aさん:香港に移住しようと思い立ったのが2023年10月、そして12月末に移住しましたから、準備期間はわずか2か月でした。香港での銀行口座開設、ビザ取得ではOWLさんにお世話になりました。

――御依頼くださり、ありがとうございました。香港法人を設立し、銀行に法人口座を開設、会社取締役としてビザを取得まで、2か月でしたから、かなりの強行軍でした。

Aさん:2か月でビザ取得まで完了するのは、かなり早い方ですか?

――正直、本当にギリギリで、ビザ発行の連絡が来たときは、ほっとしました。2か月でビザを取得できたのは、Aさんが日本で堅実に会社経営をできていて、Aさんは香港でもビジネスを発展させられるとアピールしやすかったからだと思っています。

香港の暮らしについて

――香港のお住まいはいかがですか?

Aさん:香港の家賃は高いですね。東京の2倍、3倍はします。私は単身なので、シェアハウスに住んでいます。

――そのシェアハウスはどこですか?

Aさん:上環にあります。1か月10,000香港ドル(約20万円)ですから、かなりお得だと思います。

――上環という都心で1か月10,000香港ドル(約20万円)は、かなり安いですね。建物の広さや設備はいかがですか?

Aさん:4LDKくらいのマンションの1室です。そこに、20代の若いフランス人2人、中国人1人、日本人1人(私)が住んでいます。それぞれの人の6畳くらいのベッドルームがあり、あとは、共用のシャワー、トイレ、キッチンです。20代の若者ばかりなので、楽しい毎日です。

――英語力を身につけるという目標も達成できそうですね。

Aさん:はい。シェアハウスで生活するだけでも毎日英語を使っていますし、香港の会社を置いているシェアオフィスでも、同居している会社の人たち、シェアオフィスのマネジャーさん達、みな香港人やヨーロッパ人ですから、英語を使わずにいられない環境です。

香港島のハイキングコースを友人と登っているAさん=右端

香港でのビジネス

――香港では、どのような仕事をしていますか?

Aさん:香港に会社を設立して、その会社で仕事を受けています。海外に出たからには海外の顧客を取りたいという気持ちはありますが、日本の顧客から受けている仕事が中心です。

――なるほど。それは逆に新鮮な情報ですね。日本でやっている仕事・顧客そのままに、海外移住することもできるということです。

今後のプラン

――今後、仕事とプライベートのプランはいかがですか?

Aさん:婚約者がいて、日本で仕事をしていますが、香港に来てもいいと言ってくれているので、一緒に香港に住みたいと思っています。そのときには、シェアハウスという訳にはいかないので、きれいなコンドミニアムに住みたいですね。

――香港のコンドミニアムは、プールやジムなどの設備が付いているところが多いから、きっと満足してくれると思います。

――仕事の面では、プランはありますか?

Aさん:今のところ、日本に住んでいたころからの顧客中心なので、新しい顧客を取っていきたいです。香港は不動産業が盛んな都市なので、不動産関係の仕事をしていきたいです。日本の不動産を香港人に紹介するサイトなどを作っていきたいですね。

――香港で成功したら、さらに世界を目指していきますか?

Aさん:そうですね。まずは、アジアでのビジネスを目指していきたいです。そのために、香港やシンガポールでがんばっていきたいです。

――応援しています。