仕事や勉強に「やる気」は要らない

黒坂岳央です。

仕事や勉強をする上でよく聞く話の一つに「やる気を出したいのにでなくて困っている」「やる気を出さなければいけないのに」といった悩みがある。

成果を出すにはやる気が必要であり、やる気を出すことで成功できると考えている人は少なくない。会社員時代も「お前に足りないのはやる気だ!」といった叱責をする人もいた。

正直、「やる気」は世の中であまりに過大評価されていると感じる。

gremlin/iStock

やる気と成果は何の関係もない

仕事でも勉強でも、大きな結果を出したり、粘り強く取り組む人たちがいる。そうした人たちの最大の特徴は「大変安定している」ということだ。

彼らはやる気がある日は目に見えて頑張るが、なくなったら途端に頑張らなくなる、といった行動を取らない。やる気に頼らず取り組んでいるので、常に一定のペースで仕事をしている。いや、むしろどちらかといえばやる気があるように見えないことのほうが多い。

筆者が会社勤務をしていた頃、「この人ならなんとかしてくれる」と頼りがいのあるエース社員は総じて無表情で淡々と仕事をしていた。朝と夜、繁忙期と閑散期でまったく仕事のペースが変わらないのだ。それでも大きな成果を上げている。なぜ安定しているかというと、感情を一切入れていないからだ。

「やる気を出して頑張ると成果が出る」と考えている人はそうした描写のドラマや映画に影響されてしまっている。実生活の上で成果を出すには、ゴールから逆算して必要なことを洗い出し、それを毎日継続してこなすシンプルなプロセスである。そこにやる気は一切介在する余地はない。逆にやる気などまったくなくても、必要なことを必要量積み上げたら誰がやっても成果というのは勝手に出てしまうものなのだ。

やる気より習慣化

よく言われる話として、「やる気より習慣化が大事」というものがある。これは本当にその通りで、やる気というカンフル剤で無理やり頑張っている人は戦略を誤っている。やる気に持続性はなく、すぐに効果が切れてしまう。だが習慣の力は強い。感情に一切関係なく行動し続けることができるのだ。

自分自身、起業して少なくともここ数年は「やる気」を意識したことがない。起きたら子どもたちを学校へ送り出してから原稿を書き、動画を撮り、問い合わせへ返信をして夕方子供の面倒を見るというルーチンをずっと続けている。気がつけばトータルの創作物は結構な数になった。

「体力が尽きて頭が動かないので午後からは休もう」となることはあっても「やる気が出ないから仕事を休もう」とは思ったことはないのだ。ルーチンを崩すと落ち着かないので、気がつけば体が動いている状態である。

「その習慣化を構築するまでやる気が持続しないのだ」と反論がありそうだが、それは違う。習慣化の構築は必要性で作るものである。多くの人が外国語の勉強を継続することに苦労している一方で、毎日会社に行って定時まで働くという習慣化づくりに成功しているのは後者は「お給料を稼ぐ」という明確で強力な必要性があるためだ。外国語の勉強は必要性を持たないまま、もしくは抽象的な目標で始めてしまうから続かないのである。やはり、やる気は関係がない。

勉強や仕事をする上でやる気は要らない。むしろ、やる気がありすぎる場合でも安定したペース配分が乱れてしまうなど、デメリットとすら思う。やる気が出ないことに罪悪感を持つ必要はないのだ。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。