「投資をしたいけど実行できない」「投資額を増やすタイミングは?」「いつ損切すればいいの?」など、投資の悩みは多岐にわたる。
「投資への不安や抵抗が面白いほど消える本」(櫻井かすみ 著, こげのまさき イラスト)Gakken
投資への不安や抵抗の原因
櫻井さんは、「預貯金が安全の時代は、とっくに終わっている」と主張する。投資は決してこわいものではないと。
「まだ、投資って信じ切れないなと思われる方もいらっしゃるかもしれません。『やっぱり投資は怖い』『銀行に預けたままが一番安全だわ』といったように。そんな方に声を大にしてお伝えしたいことがあります。 預貯金に落ち着きたい気持はわかりますが、令和時代、真面目に預貯金にお金を置いているだけでは、あなたの現金の価値は下がります」(櫻井さん)
「インフレ・円安の時代に突入した日本、投資をしないとみるみるお金が減ってしまうのです。コロナ以降、『インフレ』や『円安』といった言葉を耳にする機会が増えています。そもそも、『インフレ』『円安』の意味や、それが具体的に我々の生活や暮らしにどのような影響をもたらすのかをご存知でしょうか?」(同)
投資をする上で最低限知っておきたい情報が存在する。櫻井さんは次のようにつづける。
「まず、『円安』を見ていきましょう。 『円安』とは、ドルやユーロなど他通貨に比べて円の価値が下がること。 生活水準は変わらなくても、円安が進むほど生活費は上がります。なぜなら我々が住む日本は、海外から多くの物を輸入しているからです。 円安が加速する輸入品の入手コストが上がります」(櫻井さん)
「食料品1つを見ても、日本の食料自給率は3割強かなり低く、多くは輸入に頼っているのが現状です。たとえ同じだけ働いて稼いだとしても、暮らしにかかるコストが上がって生活は苦しくなってしまうということです。『円』ではなく、個別株や投資信託など別の状態で資産を保有していれば、円が下がってもその影響を受けないのです」(同)
初心者は情報に強くなれ
「いまN証券が、1株100円で○株を売りに出している。朝から投売り状態だ。ここは、指値でいって成立したらナンピン買いだな。もしくはN証券推奨銘柄をストロングバイで攻めよう」。株で損をしないためには、「株式投資のルール」を理解しておく必要がある。とくに初心者の場合、注意すべきことを理解していないことが多い。
「自己資金以上のものを投資にまわさない」「信用取引はリスクが大きい」「1つに張りすぎると暴落した際のリスクがある」など、鉄板ルールが存在するが知らない人が多い。
そして、最も難しいのが利益確定のタイミングと損切ではないかと考える。実際に、投資前には○○円になったら利益確定をするといったプランを考えているもの。しかし、チャートを見ているうちに動きがいいから欲をかいたり、損切りは大きめにしようというように、プランを変更してしまうことがある。
株は売却することで一つの取引が完了する。株は買うよりも売る方がよっぽど難易度が高く、最終損益に影響を与え易い。「いつ売るか」、「なぜ売るか」の根拠をはっきりさせなくてはいけない。最終損益に大きく影響を与えるのが売却戦略になる。
また、確実に儲かる投資など存在しない。そのような投資が存在しても一般に出回ることは理論的に考えられない。第三者が美味しい情報に有りつけるほど甘くはない。だから初心者は情報の目利きにならなくてはいけない。
本書は投資初心者向けのわかりやすい本といえる。投資への不安をなくし、投資にチャレンジできる考え方や投資術をレクチャーしている。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
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2年振りに22冊目の本を出版しました。
「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)