投資家が今やってはいけない「3つのこと」

マネックス証券の情報サイトに連載している『内藤忍の「お金から自由になる方法」』に「日経平均急落でわかった「投資の基本」の重要性」というテーマでこんなコラムを書きました。

このコラムに書いた内容の補足として、「投資家が今やってはいけない「3つのこと」」をまとめておこうと思います。

やってはいけないこと(1) タイミングを考えて投資する

タイミングを考えない投資として積立があります。NISAで積立を続けてきた人は、これまでと同じように積立をやめないで続けるべきでしょう。

積立による投資は、定期的に決まった金額でタイミングを考えずに購入していくことで、平均購入コストを引き下げようとする投資手法です。定額で購入することにより、株価が上昇すると購入単位が小さくなり、株価が下落すると購入単位が大きくなります。その結果、下落した局面で、相対的に多くの投資ができることになります。

今回のように株価が急落したり、急激な円高になると怖くなって投資を控えようとする人がいます。しかし、このようにタイミングを考えて投資をすると安くなったところで買い損ねることになります。そして、また高くなってきてからまとめて投資してしまうと「高値掴み」になってしまいます。

下がった今こそ積立を継続すべきなのです。

やってはいけないこと(2) 株式の銘柄を選んで投資する

株式の銘柄を選んで投資するのは、初心者にとっては簡単ではありません。例えば2023年来の上昇相場を牽引してきたのは半導体関連銘柄ですが、今回の調整局面では他の銘柄以上に大きく下落しました。

しかも、ある調査データによれば、2023年の1年間に日本株のアクティブファンドの中で日経平均の配当込みリターン(46%)を上回ったものは、全体のわずか14%という結果でした。プロのファンドマネージャーであってもほとんどはインデックスに勝てなかったということです。

個別銘柄を選んで投資するよりインデックスに連動する低コストのインデックスファンドを活用すべきです。

やってはいけないこと(3) 金融資産だけに投資する

マネックス証券のサイトにはあまり詳しく書きませんでしたが、株式や債券、投資信託、FXといった金融資産だけではなく、不動産、アンティークコイン、現代アート、ウイスキーといった実物資産にも資金を分散させることも重要です。また、ビットコインを始めとする暗号資産にも資産の一部を配分するようにしましょう。

投資は誰でも簡単に短期で成果が出るようなものではありません。でも正しい方法で長期に続けることできっと成果を得ることができます。そのためにはやってはいけないことを知り、間違った投資をしないことです。

新しいNISAが始まってまだ半年過ぎた程度で「NISAに裏切られた」「国に騙された」などと責任転嫁するのは、自分でリスクを取ろうという意識の無い日本人の悪い癖です。

VTT Studio/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年8月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。