親の一言が変える学習意欲:やる気を削ぐ悪魔の言葉とは?

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子供を「勉強しなさい!」と叱ったことはありませんか。

勉強嫌いになってしまった子供のやる気を取り戻し、勉強がしたくなる方法にはどのようなものがあるでしょうか。

勉強しなさいと言わずに成績が上がる!すごい学習メソッド」(藤野雄太著)永岡書店

勉強嫌いを生む言葉

以前、子供向けアセスメントの事業を展開している際、子供が何をきっかけに勉強を好きになるか調べたことがある。結果は、知的好奇心が刺激される勉強は好きになるというものだった。運動神経の良い子供に体育嫌いは少ないし、実験好きは科学に結びつきやすいし、読書好きは現代国語に結びつくといえばわかりやすいだろう。

「ダラけている子供を見ると、ついお母さんは言ってしまいますよね。愛するわが子の将来を思えばこそ、当然のことだと思います。この言葉を言ってしまうお母さんの気持ち、とてもよくわかります。しかし残念ながら、この言葉はなんのメリットも生み出しません。逆に、子供の勉強嫌いを加速させてしまいます」(藤野さん)

「『勉強しなさい』と言われて、『勉強する気になってきたー!』なんて思う子供はまずいないからです。人間は周りからの指示、強制を嫌う生き物です。これは大人も子供も共通です。自介で主体的にやると決めたことにはやる気が高まりますが、人から強制されることには、なかなかやる気が起こりせん」(同)

「勉強しなさい」は、頭ごなしに子供の言い分を聞かず、決め付けた態度とうつってしまう。このような態度に子供は嫌気を感じてしまうのである。知的好奇心が刺激されることもないから、勉強嫌いになってしまう可能性が高くなる。「勉強しなさい」と言い続けられることにより、反抗心が芽生えてしまう。

親の期待と子供の成長

遊びを制限することもよくない。勉強嫌いの子供の親に共通することは「子供の遊びを制限し過ぎていること」だと藤野さんは言う。中学受験や高校受験を控えた学年の親によく見られる傾向である。

「大事な受験シーズンですから、遊びを制限して子供を勉強に集中させたい気持ちはわかります。親として当たり前の行動かもしれません。しかし、自分から勉強する子供を育てるには、必要不可欠なことがあります。それは、『何かひとつ、好きなことに打ち込んでいること』です」(藤野さん)

「小学生ならば趣味やゲーム、習い事、中学生であれば部活など、何かひとつでも自分が好きなことに打ち込んでいる子供は、心のエンジンがちゃんと育っています。心のエンジンとは、いざというとき、力を発揮できる力。心のエンジンが育っている子供は、好きではない勉強もがんばることができます」(同)

実際に好きなことに打ち込んでいる子供は成績が上がることが多い。そのような子供は、心のエンジンが育っていると考えられるのである。

一瞬で見分ける方法

子供に心のエンジンが育っているかどうかを、見分ける方法があると藤野さんは解説する。

それは子供の目を見ることである。自分が好きなことに打ち込んでいて、心のエンジンが育っている子供は、目に力強さがある。逆に、心のエンジンが育っていない子供は目に元気がない。子供の目は、親の子育ての通信簿である。

先行きが見えない今だからこそ考えてみたい。本書を読むことで、親が知っておくべき子供の成績を上げるヒントがわかるかもしれない。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

2年振りに22冊目の本を出版しました。

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