嫌われないオジサンになるために意識していること

黒坂岳央です。

自分は仕事やスキルアップをする過程で、年下の相手と関わる機会がある。また、直接的でなくても、記事や動画ごしで新たな情報や技術を教わる相手は殆どの場合は若者であることが多い。

昔は「経験や知識豊富な年上から教わる事が多いから敬いなさい」と言われてきたが、最近は年齢が逆転しており、「先端の知識技術は若者から教わる事が多いから敬いなさい」になったと感じる(もちろん、年上の相手から教わることもあるので、彼らを軽んて良いといった稚拙な意図は一切ない)。

若者に理解あるオジサンを無理に演じることも、相手にへりくだって媚びる必要もない。そのような態度も嫌われてしまう。重要なのは「明確に嫌われる行動」を慎むだけである。自身が実践しているコツを取り上げたい。

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1. 支払いは気前よく

経営している会社の従業員、取引先、その他様々な文脈で年下の相手と対面で会話をすることがある。その際、飲食が伴う場面では基本的にこちらが気前よく、それでいて相手が気を使わないように意識している。

この場合、「端数だけ出して」といった下手にケチるような矮小な器を見せるべきではないと考える。自分が言いたいのは、ムダにカッコつけたりプライドを持って背伸びをしろということではない。日本社会における商慣習や人間関係論において、年上が年下をごちそうするというのは、最大公約数的に支持されている事実があると考える。そうなるとこれは義務ではなく、日本の社会的不文律に則った「マナー」というカテゴリに近い。マナーは遵守しておくのが無難であり、大きく外すとデメリットが大きくなってしまう。

個人的には相手から悪印象を買ってしまう大きなリスクを、僅かな出費で回避できるなら大変安い買い物という認識だ。損失リスクをオプションでヘッジ取引をするイメージである。

2. 謙虚な姿勢でいる

「オジサンは不機嫌で面倒でプライドが高い」という印象を持つ人は少なくないだろう。自分自身が若い頃はそう思っていた。会社のオジサンは大体機嫌が悪く、エラそうな人が多かった。

だからこそ、「取り扱いが面倒」という先入観を払拭するには、謙虚な姿勢でいることが肝要であろう。知らなかったことを教えてもらったら「知らなかったので助かりました。ありがとうございます」と言葉遣いを丁寧に、そして無知を認めてお礼をいえばいい。

自分が今、お世話になっているパーソナルトレーニングジムの20代の若いスタッフに教わる時は意識してそうしている。「トレーニングチューブ、ベンチ、ストレッチポールをこうやって使うのがおすすめですよ」と教わったので、さっそく即日に注文をしてトレーニングを実践した。次回対面した際に「早速買ってやったら肩甲骨がスムーズになりました。ありがとうございます」と素直に実践する姿勢と感謝を示すようにしている。

謙虚な姿勢とは、自分を下げて先方を上げる「媚びる」とは違う。媚びるのは悪印象だが、謙虚とは年齢やパワーバランスを取り払ってフラットな姿勢で物事や人に向き合うことだ。

3. 清潔感を意識する

すべての人に平等に訪れる生理現象として、年齢を重ねるとどうやっても外見は衰える。油断すると白髪交じりのヒゲになり、お腹がみっともなくでっぷりし、顔はシミ・シワ・たるみが増えていく。

そこで意識したいのは、最低限の身だしなみを整えることだ。服装は生乾きのものや、見るからに安っぽいものをやめる。口臭や体臭を意識してケアをする。ヒゲは剃って体型も気をつける。バッグや時計、スマホは使い古してボロボロのものではなく、なるべく小綺麗にする。

まるで芸能人のような水準など目指す必要はない。ほとんどの人は年相応に年を取る。あくまで、近くにいて不快になるレベルを脱する程度でいい。

4. 昔話、アドバイスをしない

大いに学べる知見や斬新な切り口に溢れ、尚且つ聞き手が強烈な関心を持っているという特殊な場合を除き、基本的に年上の昔話やアドバイスほど無益なものはない。聞く側の心身的疲労を増大させ、時間という貴重な資源を浪費させる結果が待っていることがほとんどである。需要はほぼゼロであるにも関わらず、供給サイドは常に過多になりがちであり、その結果として悲劇的にアンバランスな需給マッチングが世の中のあちこちで起きている。

それ故に「年下には昔話とアドバイスはしない。相手が聞いてほしいと思う話を黙って聞く」を基本セオリーと心がけるくらいでよいだろう。自分は対面時、年齢に関わらずそうしている。自分が話さず、相手の話を聞くことがほとんどである。

オジサンという属性はただでさえ、若者から敬遠されがちだ。だからこそ、不快感、警戒感を与えないための最低限の配慮はしたほうが良く、それが難しいなら若い人と自分からは関わらない覚悟を持つべきだろう。向こうからすれば、よほど強者としてのシグナリングを有する相手でなければ、自分から積極的に関わるメリットは論理的に皆無である。であるが故に、オジサン側が創意工夫をするというのが一定の合理性を持つのではないだろうか。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。