ダイヤモンド・オンラインで、『「岸田首相もお粗末だが後継候補はさらに……」上川外相が首相にふさわしくないワケ』という記事を書いたことについて、昨日は上川外相の頼りなさと、かつて法相として麻原彰晃らの死刑執行に署名しときながら、その前日に安倍首相らとどんちゃん騒ぎしていたということについて書いた。
政治家は、時としては戦争もしなくてはならないし、死刑の執行に判子を押さねばならない仕事である。そういう仕事は滅多にないが、それを決断するのが義務であることだってある。
しかし、だからこそ、『生命の尊厳』と厳粛に向かい合うことが要求されるし、常にあのときの決断は正しかったかと自問自答すべきだとも思う。それができない人は政治家になってほしくないし、とくに大統領とか首相だといった最高責任者はそうだ。
記事の中でもうひとつ、創価学会と公明党の国際交流の話題を取り上げている。創価学会の原田稔会長が5月10日に、ローマ教皇との会談を実現した。
5月10日午前(現地時間)、バチカン市国のアポストリコ宮殿でローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇と会見した。会見では原田会長が、「混迷する現代にあって、平和を希求する宗教として、差異を乗り越え、人間愛に基づく行動を共にすることを願っています」と述べ、フランシスコ教皇は「大変に素晴らしいことです」と応じ、次いで会長が、池田名誉会長への教皇からの弔意に対しての池田家からの御礼を伝えると、丁重な返礼があった。
原田会長は「人類の幸福と世界平和のために、今後も歩みを共にしたい」とし、フランシスコ教皇は「戦争は敗北のしるしであり、絶対に消さなくてはいけません」と強調。また、原田会長は創価学会は池田先生のリーダーシップのもと、半世紀以上にわたり核兵器廃絶に取り組んでおり、SGIとICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)がパートナー関係にあること、23年に核兵器の先制不使用について提言を発表したことを紹介し、教皇が核兵器を批判するとともに、創価学会の取り組みについて「素晴らしい。私も同意します」と語ったそうだ。
ちなみに、この会談はいわく付きで、かつてバチカンの大使館からローマ教皇パウロ六世と池田大作会長(当時)との会談の打診があった時に、日蓮正宗の宗門が難色を示し、実現できなかった経緯がある(当時は学会と宗門は対立していなかった)。
宗門はベートーベンの第九交響曲の喜びの歌を歌うことを創価学会の池田名誉会長が推奨したところ、キリスト教的色彩が強いといって反対したこともあったくらいで、他宗教との対話についての意見の違いが「宗門事件」の原因となり、創価学会を宗門が除名するという騒ぎになったのである。
その後、池田名誉会長が高齢となって海外訪問も少なくなり、会談が実現しなかっただけに、今回の会談は一つの区切りになるとともに、池田大作氏が高齢のため2010年から海外訪問をしなくなってから滞っていた教団トップによる民間外交の本格的な再開ということでも注目される。
創価学会については、国内の組織には池田名誉会長の死への対応は、2010年に姿を現さなくなってから、池田氏自身の指示に基づいて入念に進められてきたので、動揺はないがSGI(創価学会インターナショナル)については、池田氏が創設者だけに、その重みは国内と比較にならないくらい重いし、また、交流拡大にあって池田氏の天才的なコミュニケーション能力に負うところも大きかった。
それだけに今後の動向が注目されていたが、今回そういう形で大きな一歩が踏み出されたのは、世界平和への貢献の観点からも喜ばしいことであった。
ぜひとも、上川外相にも生命の尊厳がすべての根源的な価値だという認識を教えてあげてほしいものだ。