米国領事館での不快な出来事

必要な書類があり、米国の領事館に行ってきた。予約を取るのも大変で4月の中旬に5月の中旬の予約を入れるという状況だった。

窓口で書類を提出すると、最初のページにイニシャルが書いていなかったことに、目を吊り上げて「ちゃんと書きて来てください」と詰問口調の一言。領事の目の前でサインして、サインしたのが本人かどうかを確認してもらう書類なのだが、エレベーターの前にあるカウンターで書いてこいと言われた。

みんなに平等に偉そうにしているのかというとそうではない。アメリカ国籍とおぼしき人には、自分の目の前で、追加で記入させている。そして、私の後ろに並んでいた日本人老夫婦には、私と同じように書類を突き返して、カウンターで記入しろと命じている。

米国領事館だから仕方がないのかもしれないが、差別と受け取るしかない対応の差だ。私は再び列の後ろに並んで待っていたが、別の窓口から声がかかり、そこに行くと親切に対応してくれた。

最初の窓口の人は、米国人にはひとりひとりに時間をかけて目の前で書類に記入させて、5〜10分と時間を費やしている。米国では稀にこのような不快な経験をしたことはあったが、日本国内にある外国の領事館で、このような露骨な差別的対応が行われていることは驚きだ。

最近では日本の区役所・年金センターでもこのような不愛想な対応に遭遇することはまずない。米国でのグリーンカード取得時の役所でも親切な対応だったので、今回の米国領事館での理不尽ともいえる経験は新鮮な驚きだった。もちろん、評価をするならば、星一つだ。相手からするとクレーマーだと言うだろうが、納得できない対応だった。

海外に行く際の入国審査時の態度によって、その国に対する評価がマイナスからスタートすることは少なくない。シカゴ大学に勤務時、当初はビザで入国していたが、オヘア空港での入国審査の際、別室に連れていかれたことがある。

入国審査場で理由も告げずに、こちらに来いと言うだけだった。数十分そこで留め置きされ、突然にOKと言われたことがある。何の説明もなく、留め置かれた末に、追い出すかのように行っていいと言われてムッとした。シカゴに住んでいたので、ムッとしても自宅に戻るしかなかったが、学会出張時だったら、そこで取りやめて帰国していたくらいの評価マイナス100点の悪印象だ。

入国時や領事館での印象は決定的にその国の評価につながる。外国人の日本入国時には、プラス評価の対応がされていると信じたいものだ。

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編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2024年5月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。