「自分はダメ人間」ネガティヴ思考が無くなるたった5分の習慣(滝川 徹)

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日々生きていて不安を感じたり、自責の感情に駆られる自分を問題視する人も多いのではないだろうか。しかし実は、どんなに成功した人でも同じ悩みを抱えている。

そう語るのは現役会社員・時短コンサルタントの滝川徹氏。今回は、滝川氏の著書『細分化して片付ける30分仕事術(パンローリング) 』より、ネガティヴな思考への対処法について、再構成してお届けします。

成功しても消えないネガティヴ思考

理想の生活を手に入れ、生活リズムも整えることで日々の充足感も安定した。だがそんな今の私でも、時には「将来お金がなくなったらどうしよう」とか「自分はなんてダメ人間なんだ」という思考がよぎったりすることがある。

しかしこれは当然のことなのだ。なぜなら基本的に人間は不安を感じたり、ネガティヴな思考に陥りやすい。これはどんなに成功した人でも感じるものだ。

以前私はセミナーで話をしているときに不意に「自分みたいな大したことのない人間が、偉そうに話をしていいのだろうか」という不安が襲ってきたときがあった。これは「インポスター症候群」と呼ばれるもので、他者の評価に関係なく自分を過小評価したり、ネガティヴな方向に考えてしまうことをいう。

こうした感情に駆り立てられるからこそ人間はここまで進化してきた、そんな一説もあるくらいだ。昔の私はこうした感情にさんざん悩むハメになった。だがそれが誰にでも生じる感情だと理解できたとき、気持ちがどれだけラクになったことか。

今後、いや今現在でも君がこうした感情を抱いていたとしても、それは君がおかしいわけではない。私が断言する。人間はそういうもので、それは自然な感情なのだ。だから不安が襲ってきたときは「不安に思うのは自然なことだ」と自分に言い聞かせよう。それだけでだいぶラクになる。

それを踏まえたうえで、君には練習してほしいことがある。それは、不安をはじめとしたネガティヴな思考に対峙することだ。その対処法についても私がここ数年で学んだ方法を伝えていくが、まずはネガティヴな思考には大きく2つの傾向がある。このことを知っておいてほしい。

ひとつは「将来お金がなくなったらどうしよう」などの未来に対する不安。もうひとつは「自分はなんてダメなんだ」といった自責の感情だ。

未来への不安を払拭する方法

最初にやるべきは不安がなかったとしたら、どう感じるか。考えてみることだ。世界的ベストセラー作家のアラン・コーエンは「What will love say?」と自分に問いかけると良いと私に教えてくれた。世界が愛に溢れていたら。不安がなかったらどう感じるだろう。考えてみよう。

不安がない状態なのだから「まぁ、なんとかなるだろう」と気持ちが落ち着いてくるはずだ。すぐにはそう思えなくても、落ち着くまで繰り返し自分に「大丈夫。なんとかなるよ」と言い続けよう。

大抵の場合はこれで気持ちは落ち着いてくる。もちろん、それでも落ち着かないときはある。そんなときに有効なのが、思考を書き出すことだ。紙に手書きしてもいいし、パソコンに打ち込んでもいい。

なぜアウトプットするのがよいのか。それは、そうすることで頭の中の情報を忘れることができるからだ。タスクをタスク管理ツールに書き出すと頭がスッキリするように。不安に感じていることや気になっていることを書き出すとそのことを一旦忘れることができる。

たとえば私は毎朝5分ほど時間をとって、日記のようなことを書いている。その中に「今不安に感じてることは?」と問う質問を用意している。大抵は何か思いつくのでバーっと感じていることを感じるままに書き出すようにしている。

このときのポイントは、感情をそのままおもいっきり書き出すことだ。これは誰に見せるものでもない。ブログに出すわけでも、SNSに投稿するものでもない。自分の負の感情を自分の中から吐き出すためのものだ。

だから誰かに怒りを感じているなら「あのクソやろう!」などと汚い言葉でもOK。とにかく感じるまま一気に書き出す。そうすると気持ちもスッキリし、不安の感情もだいぶ和らいでいく。

そうして気持ちが落ち着いたら、次は探求の時間だ。私の場合、次の2つを自分に問うようにしている。

(1)(そのことが起きたとして)起きうる最悪のことはなんだろう?
(2)今、自分にできることはなんだろう?

たとえば将来の経済状態に不安を感じたとする。先の吐き出しで「このまま勤め続けても給料が上がる見込みがないのに、子供達の養育費はこれからどんどん上がっていく。それ以前にリストラされるかもしれない。自分はこれから無事にやっていけるのか?」と不安が出た。

そこで(1)の回答を考える。「自分が自由に使えるお金はグッと減るだろう。それと家族旅行どころか外食も思うようにできなくなるかもしれないな。リストラになったら、もっと家賃が低いところに引っ越さなければいけなくなるかもしれない。いや、一家離散なんてことに……」

こうして起きうる最悪の事態を実際に書き出してみると、なんとなく頭の中でグルグル考えてたほどの事態はそうそう起こらない。そう思えてくる。このことがわかると「もし仮に事態が悪化しても、家族がいれば自分はなんとかふんばれそうだ」と自分の中で腹を括ることができ、安心することができる。そして最も良いニュースは、大抵のことは最悪の事態にまでは発展しないということだ。

覚悟ができたら(2)の回答を考える。「今のうちに資格をとろう。副業はNGだから、フリーになったときのためにコネクションを作っておくとよいかもな。妻の負担を減らすために家事を覚えておこう。散財の見直しも必要か。転職はどうか……」など、現実的な要素で今できることを考えはじめる。

もしそれらをすでに実践していたり、現状ではどうにも動けない場合はどうするか。その場合はここでの答えは「何もない」だ。そして、きれいさっぱりそのことについて忘れること。なぜなら現実的に考えたうえで今の状況ではできることは何もないと結論が出たのだから、これ以上考えても意味がない。

念のため、これらを自問するメリットについて説明しておこう。不安を感じているとき大抵の人は漫然と「このままじゃ大変なことになる!」と頭をただ悩ませている。そうやって「大変なこと」の正体に目を向けることなくひたすら悩んでいたら、漠然とした不安だけがどんどん大きくなっていく。

自分が何に不安を感じているのか。その大変なことの正体を突きとめることさえできれば「最悪の事態」に対する覚悟も決まる。そして最悪な事態まで発展する可能性が低いことがわかれば、次第に安息の時は訪れるというわけだ。

もうひとつのメリットは、今できることに意識を向けることができる点だ。漠然とした不安にではなく、やるべき具体的なことに集中できる。そうすればむしろ前向きな気持ちになれるはずだ。私達にできることは、今の行動を変えることだけ。未来は、今日の積み重ねの先にある。

自責の感情への対処法

以前の私は何かある度に自分を責める癖があった。

「今日も全然あの仕事を進められなかった。どうしてやると決めたことができないんだろう……」
「会議であんな発言はしなければよかった。どうして空気が読めないんだ……」
「今日書いたブログ記事が全然読まれてない。どうしてもっと読まれる記事が書けないんだ……」

どんな人でも多少なりともこうした感情は抱く。人間とはそういうものなのだ。大切なのは、こうした自分の中の声をかき消すことではない。こうした声にどう対処するかだ。

そもそも「自責」とは、自分の過ちを責めることだ。明確なミスや失敗であれば関係者に謝罪して、繰り返さないように注意・改善すればよい。だが先のように、タスク進行やブログ記事などは誰に迷惑をかけたというのか。それでもそういった考えが頭に浮かんでしまう。そんなときは親友に声をかけるように自分で自分に接してあげればいい。

たとえば親友が先のような悩みを打ち明けてくれたら、君はどう返すだろうか。きっと「そんなに自分に厳しくしなくていいじゃない」とか「まだ書きはじめたばかりだろ。これからだよ」と返すのではないだろうか。

自分にも同じように励ましたり、あたたかい言葉をかければいいのだ。自分にダメ出しをしてしまうのはしかたない。だからといって、そのままにしておくことはない。自分を責める声が聞こえたら、親友として言葉を返そう。

これを続けていくと、今の私のように自責の声は次第に聞こえなくなってくる。とは言っても私も4年近くかけてやっと、といったところだ。これも練習あるのみ。お互いがんばろう。

滝川 徹(タスク管理の専門家)
1982年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、内資トップの大手金融機関に勤務。長時間労働に悩んだことをきっかけに独学でタスク管理を習得。2014年に自身が所属する組織の残業を削減した取り組みが全国で表彰される。2016年には「残業ゼロ」の働き方を達成。その体験を出版した『気持ちが楽になる働き方 33歳大企業サラリーマン、長時間労働をやめる。』(金風舎)はAmazon1位2部門を獲得。2018年に順天堂大学で講演を行うなど、現在は講演やセミナー活動を中心に個人事業主としても活動している。 

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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2024年5月23日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。