1. 中国の貿易相手の変化
前回は日本とアメリカの貿易(輸出、輸入)の相手国別シェアの変化についてご紹介しました。
どちらも中国のシェアが高まっているのは事実ですが、日本にとってのアメリカは依然として輸出入ともに高いシェアが維持されているのに対して、アメリカにとっての日本のシェアはかなり低下しています。
今回は、中国にとっての貿易相手がどのように変化したのかを見てみましょう。
また、貿易額では中国、アメリカに次いで規模の多きいドイツについてもご紹介します。
まずは中国の輸出からです。
図1が中国の相手国別輸出額シェアです。
左が1995年、右が2019年です。
1995年の時点では日本への輸出が20%を占めており、アメリカの22%と近い水準でした。香港と合わせて上位3か国で50%を超えていた状況だったようです。
2019年にはアメリカは17%と存在感がありますが、日本は2番目ながら8%にまでシェアが低下しています。
輸出する相手国が増え、1国1国の依存度が下がっているようなバランスに変化しているように見えますね。
グラフでは上位20か国を表示していますが、その他の国のシェアが14%から29%へと大きく拡大していて、世界中の国々との貿易を増やしている事が見て取れますね。
図2が中国の相手国別輸入額シェアです。
1995年の時点では日本からの輸入が21%を占め、最大の輸入相手国だったことになります。次いで台湾12%、アメリカ12%、韓国9%でした。
2019年には韓国9%は維持されつつも第1位になり、アメリカ8%、日本8%とかなり依存度が低下しています。
その他の国のシェアは12%から29%へと大きく拡大しています。
中国はアジア圏を中心に、万遍なく貿易相手との関係を拡大しているような印象を受けますね。
2. ドイツの輸出シェア
続いてはドイツの貿易シェアです。
図3はドイツの相手国別輸出額シェアです。
1995年の時点ではフランス(10%)、アメリカ(9%)、イタリア(8%)、イギリス(8%)の順で規模が大きく、日本は4%に過ぎなかったようです。
2019年には、アメリカが10%と拡大したのに対して、フランス、イギリス、イタリアのシェアは縮小し、代わりに中国が8%と大きく拡大しています。
日本は2%へと縮小しています。
特徴としてはやはり欧州(薄水色))地域内での輸出が多いというところですね。
G7各国以外にも、オーストリアやオランダ、スイスなどへの輸出が目立ちます。
図4はドイツの相手国別輸入額シェアです。
1995年の時点ではやはりフランスやイタリアのシェアが高かったようですが、2019年には中国が最大の輸入相手国となっています。
ドイツの場合は輸出も輸入も欧州地域内が殆どという特徴が良くわかりますね。
3. 輸出・輸入の特徴とは
前回、今回で日本、アメリカ、中国、ドイツと輸出入の多い国の相手国ごとの貿易金額シェアをご紹介しました。
輸出でも輸入でも各国での中国のシェア拡大が良くわかりました。
逆に中国から見ると、対アメリカでも日本でも金額は増えていますが、シェアは低下しています。
また、当然ではありますが日本、中国はアジア圏、アメリカは北米、ドイツは欧州との貿易の結びつきが強い事も確認できました。
やはり物理的な距離が近い国との貿易がより活発になるという事になりそうです。
対日本の貿易で見ると、アメリカも中国もドイツも、輸出、輸入ともにシェアが縮小しています。
貿易における日本の存在感が薄れているようです。
日本の場合、経済や人口の規模の割には、輸出も輸入も少ない特徴があります。その代わり、日本企業の海外進出は盛んです。
企業活動のグローバル化は、貿易の活発化と共に、多国籍化も大きな動きと言えますね。
今回までは貿易面の変化を見てきましたが、次回以降は対外直接投資による企業活動の変化についても見ていきたいと思います。
皆さんはどのように考えますか?
編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2024年6月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。