時間の価値は「量より質」で決まる

黒坂岳央です。

人生の時間は量より質こそ重要だ。誰しも頭の中で分かっているつもりでも、真の理解を伴った行動はなかなかできない。平日は慌ただしく雑に過ごし、土日は開放感からやっぱりダラダラ過ごして、夕方に「もっと有意義に過ごせばよかった」と後悔する人も多いのではないだろうか。

「もっとこうすればよかった」と一日の終りに後悔することを繰り返しているなら、どこかでこの負の連鎖を止めなければいけない。なぜなら人生の質は時間の過ごし方の質で決まってしまうのだから。

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楽しい時間、楽しくない時間

同じ時間でも過ごし方で楽しい時間、楽しくない時間にわかれる。すなわちこれが質の善し悪しということになる。ファーストステップとしては、何が楽しくて何が楽しくない時間になるのか?これを理解することだ。結論、自分軸で過ごす時間は楽しいし、他人軸で過ごす時間は楽しくないといえる。

「会社員という立場で自分軸で働くなんてことはできないよ」と感じる人もいるかもしれない。だが、しっかり裁量が与えられて主体的に進めることができ、自分のスキルを伸ばして良いキャリアの経験になっている実感がある仕事なら非常に楽しい。その一方で、脱サラして経営者やフリーランサーになっても、強く時間の拘束を受け、自分を高めてくれる類の仕事でなければ苦痛を伴う。

筆者の経験で言えば、会社員の頃はプロジェクトをリードする仕事は大変楽しいと感じた。参加者は自分へ信頼を寄せてくれており「頼りにしてるよ!」と声をかけてくれる。終わったらねぎらいの打ち上げをしてくれる。これはやりがいがあったし、帰宅後も主体的に「もっとよくするにはどうしたらいいんだろうか」とずっとプロジェクトのことを考えたり、アイデアを出していた。

独立の駆け出しの頃は、生きていくために色んな仕事をやったが時間的な拘束を強く受ける仕事は「早く終わってほしい」と願う瞬間がなかったといえば嘘になる。この場合、「時を過ぎてくれ」と考えているわけですなわち楽しくない時間だったのだ。

つまり、重要なのは立場というより、時間をどう過ごすか?という質なのだ。

楽しい仕事を選ぶ

誰もが一日の大半、いや人生の大半の時間を仕事をして過ごす。ここでいう仕事とは、必ずしも給料や報酬といった見返りがあるものに限定しない。育児や家事も含まれる。

人生を楽しく生きるには、楽しいと思える仕事を選ぶことが極めて肝要だ。この逆に苦痛の要素しかなく「時間よ早く過ぎてくれ」と願うばかりの仕事をすることは人生の質を著しく下げてしまう。

もちろんどんな仕事にも楽しい要素、苦しい要素のミックスでできているが、大事なのは楽しい要素が苦しい要素より大きいことである。これがやりがいである。「確かに大変なこともあるけど、でも今の仕事を続けたい」と思えるような仕事である。そんな仕事をすることができれば人生の大半の時間の質を高めることができる。

つまり、人生を楽しくできるかどうかは、仕事の質でほとんど決まるといっても過言ではないのだ。

どんな仕事がいい仕事か?

ではどんな仕事が楽しい仕事になり得るのか?人の好みや得意、不得意はあまりにも多様だが、ざっくり次の条件を満たす仕事は楽しくなる可能性が高い。

・裁量が大きい
・能力を発揮できる
・感謝を受け取れる

これらの条件をより多く満たすほど、その人にとっての楽しい仕事になり得る。

「報酬の大きさは?」と思うかもしれない。確かに仕事を考える上で報酬の多寡はあまりに影響が大きい。だが、報酬を優先した結果、上記の条件を犠牲にして不幸になる人はとても多い。そのため、「時間の質」の要件からは一旦、報酬を外して適職を探す方が良いと思っている。

仮にどれだけ報酬が高くても、一切裁量がなく、自分の能力を活用できず、誰からも感謝されない仕事は苦痛でしかないからだ。

人生は生きている時間の質で決まる。毎日の時の過ごし方の質が、そのまま自分の人生の質になる。もしも日々の時間の質に満足していないなら、一度足を止めて質を高めることを考えてもよいだろう。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。