若い内に東京に住むべき2つの理由

黒坂岳央です。

地方に移住して保護者同士で会話をすると「どこから来られたのですか?」とよく聞かれる。自分が地元の方言を使いこなせないため、標準語から外から来た人間であるとバレてしまうのだ。

東京で働いてここに来たと答えると「東京から! それは大変でしたねー」という反応をされることがよくある。表情からあまり良い想像をしていないことがわかる。

東京で働くことは狭い居住区に身を押し込めて仕事のために魂を売ることであり、まるで出稼ぎ労働のような過酷なものと想像してしまう人は一定数、地方にいる。

しかし、そんなことはない。体験すればわかるが、地方にはない東京で働くメリットがある。

somchaij/iStock

1. あらゆる活動が資産化する

東京で働く最大のメリット、それはありとあらゆる活動が「人生の資産化になる」という点である。

その筆頭がキャリアだ。東京には数え切れないほど素晴らしい企業や才能が集積しており、たとえば外資系企業の多くは東京都内にオフィスを構える。大阪にもなくはないが、その規模感はケタ違いだ。

自分が元々、大阪府に住んでいたが上京したのも外資系で働く必要に駆られてのことである。東京でなければ存在しない仕事、キャリア、企業がある以上、若い内にそうした恵まれた環境でハードワークする体験は非常に価値が高い。

また、仕事以外でも同じだ。食、エンタメ、人との出会い、ありとあらゆる可能性が東京には集まっている。そして何をしてもすべての経験が人生の履歴書になる。それは他者から見ても価値ある「経歴」になる。

東京の新宿に住んだ経験があるなら、その住んだ経験は丸ごと価値ある実績になる。東京の街なかをGoProをつけて撮影し、街の特色について解説字幕をつけるチャンネル、レストランを食べる歩くチャンネルは非常に多くのアクセスを集める。だが、同じことを地方でやってもインパクトはどうしても弱い。

2.資本主義に肌で触れる

「東京の人は冷たい」と言われる。たくさんの人に触れてきた経験から言えば、地方出身の後天的東京人にその気質が多く、どちらかといえば東京出身者ほど、江戸っ子気質や親分肌でウェットに面倒を見てくれる人が多かったと感じる。

これは筆者の想像も入っているが、地元を出て自分の人生を盛り上げるために出てきた人ほど、独立心が強いために「冷たい」と感じるドライで一定の距離感を持っているのかも知れない。

いずれにせよ、東京は資本主義に触れやすい環境だ。良くも悪くも、自分の代わりはいくらでもいる。そのため、あらゆる組織において属人性を廃する思考が行き届いているので「で、君にはどんな価値があるの?」とコモディティのような値踏みを相手からされる事が多い。

自分のスペシャリティをPRする重要性を理解することで、常に思考や行動する上でできるだけ自分の価値を高めるための活動に時間やエネルギーなどのリソースを使おう、そうしないと埋もれるという危機意識が芽生える。

こうした資本主義には早い段階で触れておくべきだろう。そうすることで、貴重な若い時間は自分を高めることに使わねば!という意識になり、それが生存戦略に直結する。結局、それが成長意欲を刺激して高みを目指すことになるので、自分にトータルメリットとして返ってくるのだ。

他にも楽しげなイベントが年中やっていたり、ビジネスをしやすかったり、優秀な人との出会いが多いなど、メリットは山ほどある。だが、本稿で取り上げた2つのメリットが最重要である。年を取ってからだと、新たな価値観に刷新されづらくなるため、いくなら若いうちだ。羽目を外してしまわない精神的成熟さは必要だが、うまく生活すれば東京は最高の街であることは間違いない。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。