人の器が出てしまう3つのタイミング

黒坂岳央です。

日々、仕事や日常でコミュニケーションを取っていると相手の器が見える瞬間がある。「この人は器が大きくてすごいな」と感じることもあれば、その逆に残念に感じる場合もある。

器というのはどう振る舞っても隠しきれないタイミングがある。

AscentXmedia/iStock

1. リスクテイク

器が出てしまうタイミングの1つ目はリスクテイク時だ。お互いに時間、コスト、労力を差し出し合う時に、自分の得を真っ先に確保する人がほとんどの中、リスクを取ってまずは身銭を切ったり率先してリードする人は一目置かれる。

筆者が実際に知っている事例では飲み会の幹事である。正直、誰も飲み会の幹事などやりたいとは思わない。店舗選定を間違えれば上司から叱られるし、段取りが悪ければやはり注意される。周囲にやたらと気を使うことは多いし、積極的に手を挙げられる人はかなりの少数派だ。しかし、勇気を持って手を挙げると様々な恩恵を受けられる。

誰もがやりたがらないことに率先して手を挙げることは、周囲に一目置かれる。特に新人がこれをすると上から何かと目をかけてもらえたり、作法を教わったり人間関係を構築しやすい。逆にこうした機会をずっと避け続けて成長機会を逃してしまうと、「いい年して段取りが下手だ」という悪印象を与えてしまう。若い頃はリスクを取れと言われるのは、たとえ失敗しても若いからと許してもらえるからだ。同時に器の大きさのPRにもなる。

2. トラブルや損失時の態度

次はトラブルや損失が出たときの態度である。

誰しも気持ちに余裕がある時は落ち着いた振る舞いができる。しかし、いざトラブルに見舞われたり、損失を出してしまうと冷静さを失って感情をむき出しにしてしまいがちだ。しかし、器の大きな人は怒りを優しさで表現する。

筆者が働いていた会社で大きなビジネスプロジェクトが進行していた。何ヶ月も終電帰りで頑張っていたが、最後の最後で予期しないトラブルで労力がムダになったことが分かる瞬間があった。フロアでは悪態をつく声が聞こえ、自分自身も正直ゲンナリしてしまった。しかし、欧州から来たムードメーカー的な社員はジョークを飛ばして周囲を笑わせてくれた。

この時、自分は内心「この人はすごいな」と感じた。誰もが口からは悪態を出したくなるような状況でよく笑いを取れるなと。その精神的余裕さが器の大きさを感じさせるのだ。

3. 第3者への接し方

最後は第3者への接し方である。よく言われることの一つに「利害関係者ではない、自分より立場が弱い人を前にした時にその人の本当の姿が見える」という話がある。

簡単にいえば店員さんだろう。恋人の前では優しいいのに、店員さんにはぶっきらぼうで乱暴な態度を取る人に幻滅、という話がある。これは今の時点では自分に優しくしてくれているのだが、いざ愛情が冷めたらこのような態度をとってしまう人だと伝わってしまうから失望されてしまう。

器の大きい人は自分より立場が弱い人にも丁寧に接する。年下相手でも敬語で依頼系で仕事を頼む。そんな第3者への接し方に器が現れてしまうことをよく理解しており、同時に相手に敬意を払って対応することが巡り巡って自分に得になるとわかっているからだ。

器というのは普段からよく見せようとしても、いざという時にはメッキが剥がれて本性が暴かれてしまうものだ。相手の本性を知りたい時は、誰もが余裕を失うタイミングである。そこに注目することで本当の姿が見えてくるだろう。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。