1. 日本の相手国別対外直接投資
前回は、日本の直接投資についてご紹介しました。
日本から海外への対外直接投資は拡大傾向が続いていて、近年では収益の再投資が多いようです。
一方海外から日本への対内直接投資は増えてはいますが、対外直接投資と比べるとまだ規模は小さいようです。
日本の直接投資は、このアンバランスさが特徴と言えそうです。
今回は、直接投資について、相手国別の集計をご紹介します。
日本からの投資が多い国、日本への投資が多い国はどこなのか、興味深いデータだと思います。
まずは、直近10年間の対外直接投資の相手国別推移を見てみましょう。
図1は日本の相手国別 対外直接投資の推移です。
フロー(年間の正味額)のため、各国でアップダウンがありますが、アメリカの規模が大きい事が良くわかりますね。
日本企業のアメリカへの直接投資が大きいという事になります。
例えば、自動車の現地生産工場を作るなどという事を思い浮かべればイメージしやすいかもしれませんね。
その他の相手国では、オーストラリア、イギリス、シンガポールといったあたりへの対外直接投資が多そうですね。
2. 日本の相手国別対外直接投資シェア
単年だけだとアップダウンしてしまいますので、2014年から2023年の10年間の合計額で見た場合の、対外直接投資のシェアを見てみましょう。
図2が日本の対外直接投資の相手国別シェアです。
アメリカが31%で約3分の1ですね。日本企業のアメリカとの結びつきの強さが良くわかります。
意外にも、中国が5%とイギリスの9%を下回り、それほど大きなシェアではありませんね。
欧州ではオランダやスイスが上位に入ります。
アジア・大洋州ではオーストラリア、シンガポール、タイ、インドネシアが上位に入りますね。
3. 日本の相手国別対内直接投資
次に、相手国別の対内直接投資について見てみましょう。
図3が日本への対内直接投資の相手国別推移です。
やはりアメリカの規模が大きいですが、対外直接投資ほどではありませんね。対外直接投資では4~10兆円でしたが、対内直接投資では1兆円前後です。
相対的にイギリスやシンガポールの規模が大きくなっています。
2023年はシンガポールがアメリカを抜いています。
ドイツや中国はかなり少ないようです。
4. 日本の相手国別対内直接投資シェア
続いて、10年間の対内直接投資シェアについても見てみましょう。
図4が相手国別の対内直接投資(10年間合計値)シェアです。
やはりアメリカの存在感が大きく28%を占めます。続いて、イギリス15%、シンガポール15%となっています。
以外にもフランスが7%と上位に入っているのが印象的です。
5. 日本の相手国別直接投資の特徴
今回は、日本の直接投資について、相手国別の推移やシェアをご紹介しました。
やはりアメリカの存在感が大きい事がわかりましたが、イギリスとの関係も強そうです。
対内投資では、アジア圏では中国よりもシンガポールとの関係の方が規模が大きいというのも意外な点でした。
今後対内直接投資が増えていくとこの顔ぶれにも変化が出るのかもしれませんね。
皆さんはどのように考えますか?
編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2024年6月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。