今回の川重の裏金事件は大変なことになるかと思います。
まず二社の潜水艦メーカーがありながら、何故事件が起こったのか。しかも20年以上に渡って、修理に際しての川重の待遇がよかったことは海自内部ではよく知られていた。それをなんで疑問をもたなかったか?お前ら知っていてバックレていたな?と組織が疑われることなる。
そして財務省から同じ金額で受注しているのに、どうして分からなかった? 防衛省の原価計算はいい加減ではないのか?と疑われるでしょう。
更に国税庁も調査するでしょう。川重の本社にマルサのガサ入れが入る可能性もあるし、警察も動くでしょう。当然会計検査院の検査も入る。
川重の役員たちは株主から訴えられることになるでしょう。
更に申せば、じゃあ他の事業、例えばP-1とかC-2とか、電子戦機とか、その他のプロジェクトでは裏金はやっていなかったのか?ということも調べられるし、陸自UHーXのときの談合も蒸し返されて調べられる可能性があります。
また他社もあれこれ腹を探られるでしょう。
果たしてこういう環境下で防衛産業の利益率を8%から13%に上げる必要があるのか? 防衛省の原価計算はかなり甘く、原価に利益が相当のっているのは公然の秘密です。
他国のメーカーの利益が高いのは、自社でリクスを背負って輸出市場で戦って、輸出用の製品も開発したりしているからです。
更に申せば、我が国は超低金利で、事実上大企業ならば金利ゼロです。他国では金利は遥かに高いしインフレ率も高い。そういう環境の違いも無視しています。
それとリスクゼロの国内産業を同列にして金を増やすといえば、事業統合する会社はないでしょう。サボっていても利益が増えるのですから。
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東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
海上自衛隊の潜水艦メーカーは2社も必要あるか川重の裏金問題で注目される潜水艦の実態
月刊軍事研究8月号に防衛省、自衛隊に航空医学の専門医がいないことを書きました。
軍事研究 2024年 08 月号
Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
- 「敵に手の内をさらさない」という防衛省、自衛隊の「敵」は国会と納税者か
- 新聞各紙 残念な防衛関連の未検証記事
- 日本の報道の自由度が低いのは記者クラブのせい
- 次期装輪装甲車、AMV採用を検証する その2 AMVのライセンス生産によって日本の装甲車事業は壊滅する
- 次期装輪装甲車、AMV採用を検証するその1 駿馬を駄馬に落とす陸自のAMV採用
東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2024年7月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。