羽田空港アクセス線開業をJR東日本が急ぐ訳

日本経済新聞電子版によれば、羽田空港と東京都心を結ぶ羽田空港アクセス線が2031年の開業と発表されました。

羽田空港アクセス線 JR東日本HPより(編集部)

2031年と言えばあと7年ですから、そんなに先の話ではありません。

開通すると、羽田空港に新しい駅が作られ、都心からは「上野→東京→新橋→羽田空港新駅」という順番に停車し、新橋から羽田空港までノンストップ直通で行けるようになります。

これまで都心から羽田空港に向かう公共交通はバス以外には、浜松町からの東京モノレールか京急線しかありませんでした。

これらのアクセス方法に比べ、乗り換えが少なく停車駅も減るので、都心からの時間の短縮が期待されます。

利便性が高まるのはありがたいことですが、JR東日本が開業を急ぐのには、何か裏があるのでは無いかと勘ぐりたくなります。

それはJR東海との東京都心の鉄道の覇権争いです。

JR東海は東京では品川駅を拠点としています。全新幹線を停車させ、更にリニアの始発駅として発展させようとしています。

リニアが開業すれば、品川駅がターミナル駅としての価値を高め、JR東日本の牙城である東京駅が相対的に地盤沈下することになります。

その巻き返し策として、JR東日本は東京駅から羽田空港までのアクセスを改善し、飛行機の利便性を高めることでリニアに対抗しようというわけです。

と、ここまでの話は全て私の勝手な妄想です。理由がどうであれ新橋駅の利便性が高まるのは、新橋推しの私としては個人的には大歓迎です。

心配なのはJR東日本のセンスです。エレガントを通り越してエレファントなサービスにがっかりさせられるJR東日本には、羽田空港アクセス線ではイケてるサービスを提供して欲しいと期待しています。

羽田空港アクセス線に限らず東京の交通インフラの整備は、これからもまだまだ続きます。日本全体の人口減少の中「東京23区かそれ以外か」という2極化が加速していくことになります。

yongyuan/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年7月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。