日本人減少、外国人は「猫の手」か「神の手」か?

いよいよパリ五輪開幕となりますが、直前に起きた高速鉄道TGV運航妨害は五輪反対派のささやかな抵抗なのか、それが序章なのかわかりません。フランスは個人的には治安という点からは安定感がなく、人々の行動規範もわかりにくい国だと思います。五輪が無事に、そして日本勢の活躍を期待したいところです。金メダル20個、メダル総数55個が目標とのこと。大量獲得が期待できる柔道、レスリング、体操は重要。一方、バレーボールとサッカーはファン層が盛り上がることでしょう。期待したいところです。

では今週のつぶやきをお送りします。

日経平均8連敗!

2年9か月ぶりの日経平均8日連続安は市場が弱虫そのものに見えます。週明け月曜日は大きく反発しそうですが、水曜日の午後1時前後に発表される日銀の定例政策決定会合の行方の予想がつかず水曜日の前場までは様子見の展開になりそうです。日銀が何らかの利上げを発表する確率は25%程度。植田日銀総裁は6月18日を境にインタビューなどを受けていません。よって日銀の内部でどのような議論や考えがなされているのか想像ができず、日銀ウォッチャーもコメントしようがない状況です。

一方のアメリカFOMCはその半日後に終了し、パウエル議長が記者会見をしますが、9月の利下げ予想に対してどう言及するか次第では日銀の政策発表との組み合わせでドル円が大きく動く可能性があります。他通貨との比較から円の売られ過ぎが最大限修正されるとすれば148円が目先の上限ポイントになるとみています。ただ、円高にしろ、円安にしろ一番の問題はその為替レートよりもレートが急に大きく動くことで企業がやりにくくなる点なのです。私もカナダで日本の書籍の輸入業をやっている手前、為替の動きは年間で10円以内に収めてもらいたいというのが正直なところです。

あと注目は決算発表が始まった日本企業の業績で、海外投資家が日本への投資に資金を更に振り向けるか、引き上げるかの判断どころとなります。週明けから大手企業の決算が続きますので個別企業ベースの喜怒哀楽となりますが最終的には上場企業全体ないし、プライム市場全体で経常利益がどのぐらい変化したか次第で海外投資家の姿勢は決まるでしょう。今の日経平均37000円台はチャート的にはいかにも売られすぎで、木曜日の1300円近い暴落は日銀の政策発表分を前取りして吸収したようにも取れますので水曜日後場からは逆に落ち着く公算も出てきたようにも感じます。

日本人減少、外国人は「猫の手」か、「神の手」か?

英国やカナダで外国人が増えて起きたことはなにか、といえば「地元民は地方に逃げる」であります。一時期の英国ロンドンでは不動産ブームが講じ、地元民が不動産を売り、外国人が買うことでロンドンからロンドン子がいなくなったとまで騒がれました。ただ、この見方を逆説的にとれば地元民が高額で不動産を外国人に売りつけ、自分たちは悠々自適の田舎暮らしとも取れるのです。誰も指摘しないですが、バンクーバーエリアから離れたバンクーバー島に行けば白人の地元民の世界です。つまり「外国人は都市がお好き」という世界共通の標語を忘れてはいけないのです。

総務省が発表した24年1月1日時点での日本人の数は86万人減少。これは想定していた数字なので驚きはないのですが、生産労働人口について日本人が52万人減ったものの外国人が30万人増え、人口比の生産労働人口は59.71%と前年をほぼ維持した(日経)とあります。こんな表現の仕方をするから日経は叩かれるのです。労働力が52万人減って単純労働の担い手が全く足りなくなる一方、外国人は神の手かもしれないけれど、自分たちのそばに住まわれるのは嫌だよねぇ、が日本人の本心であり、最大の不安感なのです。

こう見ると東京は外国人主導の経済基盤形成が望む、望まないにかかわらず進んでいくと思います。つまりロンドンやカナダのようなことが東京でも起きるということです。大阪、名古屋、福岡は地元文化のテイストが強いので外国人にも好き嫌いが出るのですが、東京は長年、国内移住者主体の「よそ者文化」であって東京文化と称するものは下町の一部など限られてしまいます。ならば店員が外国人でもウェルカム。「君たち、日本滞在中、問題だけは起こすなよ」ぐらいの許容があるとも言えます。今東京でコンビニと飲食店で外国人が働いていることに抵抗感持つ人、いますか?「外国人は神の手か」といえばそれは言い過ぎとしても「猫の手」よりはるかに助かっているのは事実です。

AndreyPopov/iStock

自民党 小林鷹之氏は次世代を担うか?

小林鷹之、49歳、元特命担当大臣(科学技術政策、宇宙政策、経済安全保障)担当、開成高校から一浪して東大法卒、ハーバードケネディスクール修了。財務官僚から議員に転じています。9月の自民党総裁選で若手の期待候補として名が上がります。といっても今年で50歳になるので誰と比べて若いのか、という相対的な意味合いです。彼が賢いかは知りません。よく「東大院卒、すげぇ!」と思う方がいますが、東大の院は東大に入るより全然簡単。一点集中主義で論文書ければいけちゃいます。ハーバードケネディスクールも日本人はその名前で圧倒されますがそんな学校は世界に掃いて捨てるほどあるので学歴は人物を語らないのです。

その小林氏、日経にインタビュー記事があります。「派閥の力学だけで今度の総裁が決まるとすると自民党の明日は絶対にないと思う」と述べています。まぁそうでしょうね。非常に悪い言い方しますが、下町の不良ばかり集まる中学校でも東大でもハーバードでも2:6:2の法則があります。つまりその集団の中にはできる人間とできない人間が2割ずついてあと6割が普通なのです。仮にできない2割の足切りしてもまた新たな集団では2:6:2の集団が自然にできます。これを自民党の中で当てはめても同じような比率が生じるわけです。

ところが政治は出来る奴も出来ない奴も関係なしの頭数が勝負のところがあります。派閥はこれをうまく利用した発想で自民党議員一つの組織よりも派閥に仕切り、小規模グループでやるほうが良さげに見えるのです。政治家業は学校のように勉学での優劣ではなく、声の大きさ、行動力、人脈、取りまとめる力、プレゼン能力あたりが重視されるので優勝劣敗がはっきり出ます。これを派閥制にすると「うちの派閥から大臣2枠あるのだけど、オタク、6期もやっているからそろそろ大臣、やってみる?」ぐらいの年功序列。選出の地元は達磨の片目を入れて「ついにおらが街からも大臣が出たぞー」ぐらいの感覚でしょう。そういう意味で岸田首相が派閥を実質的に取り除いたのは構造改革といえる大功績で、あと5年ぐらいすれば「あの時、岸田さん、大変だったけどよくやったよね」になるはずです。

後記
「イベントの夏、ヒロの週末が略奪される夏」です。8月終わりまでほぼ毎週末イベントが入っており、へたりそうです。バンクーバーは観光地なので夏、地元客は観光客に押し出される感じですが、その中を縫うようにイベントが並びます。先週末のイベントである大臣と話をしていたら「私だって夏はイベントが同じ日に複数あるから掛け持ち参加で挨拶だらけよ!」と。特に秋に選挙があるので今年は政治家は駆けずりまわっていることでしょう。私の今週末は60人BBQの企画側。頑張るぞー!

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年7月27日の記事より転載させていただきました。