就職人気ランキングで仕事を選ぶと後悔する

人気の職業というのは、時代とともに変わっていくものです。私が子供の頃には、デパートのエレベーターにフロア案内をするエレベーターガールが乗っていました。かつては女性の人気職業だったと聞きます。

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また、航空会社の客室乗務員も「スッチー」と呼ばれ、女性の花形職業でした。ところが待遇の悪化とともに「空中飯盛人」と揶揄されるようになり、以前ほどの輝きはなくなりました。

新卒の就職先の人気も変遷します。

私が大学の時最難関とされていたのが国家公務員上級職。中でも当時の大蔵省(現財務省)は官庁の中の官庁と呼ばれるスーパーエリートの集まりでした。

また、民間企業では、大手商社や銀行・保険会社が人気でした。

その後、就職先の人気は日系企業からマッキンゼーのようなコンサルティング会社や、ゴールドマンサックスのような投資銀行に移りました。

さらに、数年前からは、就職せず自ら事業を立ち上げる起業家が人気となっています。あるいは、社会問題を解決するNPO法人での仕事を希望する若者も増えているそうです。

かつて人気があった官庁や大手銀行は、人気が低下して優秀な人材が確保できず苦しんでいます。

大きなトレンドは、安定した組織に入るよりも、自己成長できて社会に貢献できる仕事を望む価値観が広がっていることです。

大手企業で安定した雇用を確保し、高い給与を受け取ることが今までは憧れだったのに、今や「かっこ悪い」と思う人が増えています。

しかし、今は「かっこいい」と思われて人気のあるスタートアップの起業やNPO法人も数年後にはどうなっているか分かりません。

人気がある仕事もいつ人気がなくなるかはわからないのです。

という事は、就職人気ランキングといった周りの人たちの評価に関係なく、自分の好きな仕事を選んだ方が、後悔がないと言うことです。

「AI関連のスタートアップ」と聞けば、今はイケてる最先端の仕事ですが、果たして5年後にはどうなっているのでしょうか?


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年8月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。