出生者数がヤバい状態に:国家の維持が困難になる水準

日本の報道は台風第一主義。そもそもが農水産業国であり自然と共生することが日本人のDNAであることから昔から報道に於いて天気の話は大いに優先させてきたと感じます。レポーターが嵐の中で飛ばされそうになりながらも報じている姿を画像を通して見せるのはある意味、奇妙と言えば奇妙なのですが誰もそれを危ないとか、おかしいと指摘することもありません。それにしても異常気象が招く台風の進路や巨大化に今後どう対応すべきか、次のレベルの国土強靭化が求めらえるのでしょうか?

では今週のつぶやきをお送りいたします。

強欲な市場

今週、市場の話題をさらったのはエヌビディアの決算発表。水曜日の場引け後の発表でしたが月曜日からソワソワ。まるで他のことが手につかない、そんな状況が月曜から水曜日まで続き、場引け後の決算発表では好調な売り上げだったもののアナリストの目標に届かない、先行きも安泰とは言い切れないという解釈が目立ち、夜間取引では一時8%超の下落。翌木曜日はエヌビディアの株価のみ不調でしたが他の銘柄は台風一過という感じでした。

市場は強欲である、そしてそれ以上にサプライズ感に飢えている、こう表現するしかありません。妥当な株価を計算するアナリストたちの予想の過半は当たらないとされています。つまり株価は理論値だけではなく、実に人間臭い、そして時として論理性を勝手に無視し、集団行動で「皆が買えば怖くない」「皆が売るなら僕も売る」的な意図が働きやすくなります。一時はやったミーム株(はやり株)もその典型であろうと思います。

強欲な市場はある意味、順張りを期待しているともいえます。「もっと欲しい」からです。ところが日本人の個人投資家は逆張りがお好きとされます。「落ちるナイフはつかむな」とは株式格言ですが、手に傷がついても手の傷ぐらい痛くもないという果敢な攻め方は日本独特で北米主体で投資を行っている私としては分かりにくい時もあります。ですが、最近の北米の強欲さに私は一、二歩下がって冷静に見るようにしています。今月は全般的に売却を進めており、現金ポジションも相当高めになっています。今週はカナダのREITを2銘柄購入したのみです。少し様子見をするのがベターな気がします。

先が読めない政治の世界

自民党総裁選は大乱戦、立憲民主党は野田氏の出馬表明で大きな変化、アメリカ大統領選は行方知らず。おまけでいうなら兵庫、斎藤知事の去就もさてどうなるのか、です。現時点で私が予想を出せるのは立民は野田氏が有利ぐらいであとはどう見ても方向性すら見えなくなってきています。自民党に至っては横一線出馬しゴールまでもつれにもつれ、投票したらあれー?という想定外の方が残ることもあり得ます。こうなると変な話ですが、顔カタチと言った外見ウケする方が有利になるかもしれません。

アメリカについても世論調査でハリス氏がトランプ氏を抑え若干のリードを保ったまま、論戦に入りそうです。トランプ氏のかつての「口撃」は効力がなくなったのか、はたまたトランプ氏も「大人」になって政策論争で巻き返しを図ろうとするのか、この辺りの戦略は分かりません。日本の論客はトランプ氏支持派が多いように感じます。支持だけのはずなのにトランプ氏があたかも当選するようなことを述べる方もいらっしゃるようですがこの辺りが日本のメディアのマナーの悪いところともいえます。

最後に兵庫の斎藤知事。粘りますねぇ。百条委員会でも「カエルの面に小便」状態。市民の負託があったという自負だと思いますが、それは知事になる前の期待値であって蓋を開けてみたらダメだったとなればその負託の意味はありません。前節で述べたエヌビディアの株が好決算にもかかわらず下落したのは期待値がそれ以上に高かったのが理由ですが、「斎藤元彦」株は上場したら期待どころか散々裏切り、不評を買ったのですから兵庫県民にとって大損の状態なのではないでしょうか?

出生者数がヤバい状態に

「品の良い私」が「ヤバい」なんて言葉を使うのは憚れるのですが、1-6月の出生者数35万74人という報道は衝撃です。「トレンドに拍車がかかっている」とか「想定以上」と言った上品な言い方ではなくシンプルに「ヤバい」です。出生者数は20年後の成人の数になるので20年後の労働市場や働き手の数、更には人口から想定される内需などの経済環境がほぼ確実な数字として予見できます。ずいぶん前から私は危機感を募らせ様々な警鐘を出してきましたがこのままでは国家の維持の可否という話になりかねません。

Yagi-Studio/iStock

一方で不安を煽るばかりが私のブログでもありません。我々が普段目にするのは合計特殊出生率であり、その分母は既婚、未婚女性の両方の合算です。フランスではないので日本で未婚の女性が子供を産む数は少ないですから分母と分子(子供の数)がある意味、Apple to Apple ではないのです。つまり狭義の意味では比較できないのです。その為日本ではむしろ完結出生児数という分母が既婚者に限定された統計の方がより正しい認識が出来るのです。その数値は1952年が3.50、2002年が2.23,2021年が1.90です。下がってきているとはいえ、結婚すればお2人ぐらいは授かるケースが高いと言えます。

よって少子化対策としては婚姻を進め、子作りをしてもらうことが最もシンプルなスタイルになります。ではなぜ合計特殊出生率はここまで下がるのか、といえば結婚しない選択肢もありますが、男女の価値観の相違があるように感じます。かつて結婚時の男女年齢差は2-3歳と言われましたが、現在では個人的には10-15歳ぐらい必要な気がします。つまり男が40歳ぐらいになってようやく若い女性からみれば「この男の先が見える」ということ。ヤンチャなガキでは女性に相手にされないということではないかと思います。男よ、奮起せよ!と申し上げます。

後記
このところビジネスの交渉事が立て続けに発生しており、今週だけで3件交渉の末、ひっくり返したりして自分に有利な形で取り込みに成功しました。私のやり方は論理性をもって押し込むのでこちらの方には「Japaneseがこんなにアグレッシブとは?」と思われているかもしれません。社長業はモノを決断すること、交渉の矢面に立つこと、そして先手必勝で攻める時は速攻勝負です。その際に足元を見られないようにするではなく、こちらが相手の足元を見るぐらいの強気と押し込む姿勢がないと北米のビジネスシーンでは勝てないのです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年8月31日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。