お金だけが目的ではない投資から得られる価値

投資の仕事を長い期間やってきましたが、「楽しい投資」ではなく「儲かる投資」をやるべきだと思っていました。

例えば、株式の個別銘柄の選択や投資のタイミングを考える投資手法は、楽しい投資ですが儲かる投資ではありません。インデックスファンドの積立の方が成功の確率が高いからです。

そう考えれば、このような楽しい投資はすべきではないという結論になります。

しかし、最近は「楽しい投資」と「儲かる投資」を両立できる投資方法もあるのではないかと思い始めました。

例えば、こちらのクラウドファンディングで募集を始めた香川県三豊の宿泊施設への投資です。

こちらの宿泊施設には私も宿泊したことがありますが、瀬戸内海の素晴らしい眺めを見ながらサウナも楽しめるスタイリッシュな宿です。今回、既に高い稼働率を誇るこのオーシャンビューの宿泊施設を証券化し、1口10万円から小口化して投資ができるプロジェクトがスタートしました。

投資家には宿泊の割引だけではなく100万円以上の投資家に対しては、無料宿泊特典なども付与されます。

投資の利回りは税引き前で約2%と決して高いとは言えません。しかし、地元の宿泊施設としては、ランドマーク的な立ち位置にある物件のオーナーとなり、宿泊利用も可能と言うユニークな投資になっています。

ワンルームマンション投資のような、純粋に利回りを追求するような投資とは、異なる価値を求める人にとって、魅力あるものではないかと思います。

経済的な余裕が出てくると、単に「儲かる」だけではなく「楽しい」という要素にも価値を見出せるようになってきます。

自分が投資している物件に自分でも利用ができる。このような体験は、通常の不動産投資では得られないものです。

リターンに重きを置く資産形成期の投資家の人には向かないかもしれません。でも、ある程度資産形成に成功し、そのお金を単なるリターンだけではない投資に有効活用したいというニーズもこれから強まっていくと思います。

今回の「URASHIMA VILLAGE」のクラウドファンディングに、どんな人たちが投資をし、どんな思いを持っているのか。

日本人の資産運用の多様化の試金石になる野心的な試みとして注目しています。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年9月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。