バチカンがメジュゴリエ巡礼地を承認

バチカン教皇庁は19日、記者会見を開き、ボスニア・ヘルツェゴビナの巡礼地メジュゴリエでの聖母マリアの再臨現象に関する取り扱いについて、最終的決定を明らかにした。教理省が発表した文書「平和の女王」はフランシスコ教皇が昨年8月承認したもので、その中で教皇は「ニヒル・オプスタット」(反対意見なし)を示し、聖母マリアの再臨の地メジュゴリエの巡礼を正式に承認した。ただし、いくつかの制約が設けられている。

聖母マリアの再臨地メジュゴリエを巡礼する信者たち(バチカンニュース2024年9月19日から)

サラエボから南西100キロにあるメジュゴリエでは、1981年に聖母マリアの出現が報告されて以来、世界最大級のカトリック巡礼地の一つとなり、毎年何百万人もの巡礼者が訪れている。当時子供だった「幻視者たち」によって聖母マリアの再臨が報告され、さまざまなメッセージが届いているという。

メジュゴリエの霊的現象では長い間、司教、神学者、バチカン関係者たちの間でさまざまな議論があったが、教皇庁が今回まとめた文書「平和の女王」はその序文の中で、「メジュゴリエの霊的現象に関する長く複雑な歴史に終止符を打つ時が来た」と記述している。フランシスコ教皇が昨年8月28日に承認し、教理省長官のフェルナンデス枢機卿とマッテオ師が署名した今回の文書では、メジュゴリエに関連する多くの霊的な実りを認めている。ただし、聖母マリアの再臨の超自然性、つまり真実性については触れず、メッセージに対して全体的に肯定的な判断を下している。

「平和の女王」の文書で重要な点は、メジュゴリエでの体験に関連する霊的な実りを認め、信者がその体験に従うことを可能にすることだ。これは、超自然現象に関する新しい識別規範に従い、「多くの肯定的な実りが現れ、神の民に危険な影響が広がっていない」という理由に基づく。全体的にメッセージに対しては肯定的な評価を下しつつも、いくつかの表現については明確化が求められている。また、いわゆる「幻視者」たちの道徳的生活に対する評価を含むものではないこと、霊的な賜物が「関与する者たちの道徳的な完全さを必ずしも前提としていない」ことが強調されている。

バチカン教理省は今年5月、1978年から施行されていた超自然現象の評価基準を更新した。新しい規範は、地方司教がマリアの出現やその他の現象をより迅速かつ効果的に判断する助けとなるもので、宗教的実践が霊的に支持されるかが重視され、民衆信仰に関する迅速な評価が可能となる。

新しいガイドラインでは、出現が超自然現象かどうかを教会が公式に判断する必要はなく、その場所での宗教的実践が牧会観点から推奨されるかどうかが重要視される。評価には6段階があり、「Nihil obstat」から「さらに観察する」(ラテン語で「pro oculis habeatur」)、監視下での管理(「sub mandato」)、さらには禁止(「prohibetur」)まである。

ボスニア・ヘルツェゴビナでは、地元の司教と、巡礼地での牧師活動に中心的な役割を果たしているフランシスコ会士との間で対立があった。また、一部の「預言者」たちが非常に詳細な聖母マリアのメッセージを報告し、それを政治や教会内の議論に利用しようとしたこともあった。今回の文書は「聖母マリアの再臨現象が超自然的な性質を持つという宣言ではなく、信者がそれを信じる義務はないことを強調しながらも、『Nihil obstat』は、この霊的な提供を通じて信仰生活において肯定的な刺激を得ることができ、公的な崇拝が許可されることを示しているだけだ。

メジュゴリエに現れた聖母マリアは自らを「平和の女王」と呼び、「私は世界の救いのために、ここに平和をもたらすために来た。真の喜びは神の中にあり、そこから真の平和が生まれるため、私は回心を求める」(1983年6月16日)というメッセージを残している。これは、隣人愛の実践の実りであり、「カトリックでない者への愛をも含む」ものだ。この点は、宗教的対立が関与した悲惨な戦争を経験したボスニアのエキュメニカル(宗教間対話)および宗教間の文脈においても重要な内容と受け取られている。

バチカンの文書は、「信仰生活の健全な実践を促進している」ことを肯定的な実りとして強調し、メジュゴリエを訪れた多くの人々が、信仰を発見したり、再発見したりする「多数の回心」があり、告解や聖体拝領への回帰、聖職者の召命、「夫婦間の和解や結婚・家族生活の再生」が数多く見られると記している。

マリアの出現やさまざまな奇跡はカトリック教会の伝統の一部であり、民衆信仰においても大きな影響を与えている。フェルナンデス枢機卿は「これらの出来事はしばしば霊的な成果や信仰の成長、信心深さ、兄弟愛、奉仕精神を生み出し、いくつかの巡礼地が世界中に広まり、民衆信仰の重要な一部となってきた」と述べる一方、「超自然的な起源を持つとされる出来事の中には、信者に害を及ぼす深刻な問題が発生することもある。特に利益、権力、社会的な名声、個人的な利益を得るためにこれらの現象が利用される場合がある」と指摘することを忘れていない。

なお、18世紀以降、聖母マリアの出現は「私的啓示」とされてきた。カトリック教義によれば、信者は私的啓示を信じるかどうかは自由だ。聖母マリアの再臨現象で興味深い点は、世界が経済的、政治的危機、たとえば飢饉、疫病、不作などの時に頻繁に出現していること、そして多くは子供たちの前に現れていることだ。例えば、1850年代、1870年代、第一次世界大戦、そして1930年代初頭に多くの聖母マリアの出現が記録されている(「聖母マリアはなぜ頻繁に出現するか」2023年8月19日参考)。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年9月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。