夫婦別姓を民法から改悪して、おまけに戸籍法まで改正せよと迫っているのが、主に野党連中だ。
これに表面的な根拠は無く、旧姓使用できないで悲しんでいる人がいると言う、なんとも感情的な理由しかない。また、結婚後の同姓は過去のキャリアを蔑ろにするから、女性差別ではないか、との言い分だ。
これに対して、小泉進次郎自民党総裁候補は、総理総裁になったら選択的夫婦別姓の法整備を行うと明言した。
今頃、こんなことを提言すると言うのは、いささか、周回遅れというか、現実がまるで見えていないことを明らかにしているようなものだ。これに対し、高市早苗候補は、「国会議員の中にも、選択的夫婦別姓について知らない人が多い」と指摘した上で、過去、高市氏自身が選択的夫婦別姓に取り組んできた経緯を会見で述べている。
高市早苗氏、選択的夫婦別姓で小泉進次郎氏に反論「不動産登記できる」解雇規制緩和も反対
つまり、遠回しに小泉進次郎氏に対して、もう少しお勉強された方がいいと諭しているのだ。
選択的夫婦別姓を法的に定めるべきだと主張する人々の根拠となっているのが、例えばNHKの世論調査のような結果だろう。NHKが5月に実施した調査では「容認」と答えた人が全体の62%に達している。つまり、社会の声が選択的夫婦別姓に賛成しているのだから、日本も選択的夫婦別姓社会にすれば良いではないか?と言いたいのだ。
「選択的夫婦別姓」賛成が62% 反対は27%に NHK世論調査
これに対して、戸籍法や民法を改正するなど複雑な法整備が必要となるが、それは憲法の解釈にまで至る可能性も含む。ただ、この議論の中で肝心なのは、今の日本社会は既に実質的な選択的夫婦別姓制度が採用されているという現実をよく理解した方が良いという点だろう。
高市早苗候補が指摘し、議員立法で法案提出したように「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」を根拠にするなら、現在議論されている点のほとんどが解消されるという意見もある。また、高市氏が総務大臣時代に行った制度設計によって、法改正することなく総務省関連の1,000項目以上が旧姓使用で問題がない対応に変わった。既に、旧姓使用で不動産登記も出来るし、パスポート取得も可能だ。つまり、現実に即して勘案すれば、旧姓使用を希望する人はほぼ実現可能ということになる。
それでも選択的夫婦別姓の法整備を求める人の希望を受諾して法改正するなら、それは根本的な問題に行き着く。つまり民法や戸籍法の改正に踏み込まなければならないことを意味するのだ。選択的夫婦別姓の議論の中で、ほとんどの人が抜け落ちているのが、この点と言ってもいいだろう。つまり、選択的夫婦別姓が事実上実現している日本において、それでも頑なに選択的夫婦別姓に拘る人々には、別の目的があるやに、勘繰ってしまう。
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以降、
続きはnoteにて(倉沢良弦の「ニュースの裏側」)。