先週行われた自民党総裁選では1回目の投票でトップに立った高市早苗氏が決選投票で石破茂氏に逆転される想定外の展開となりました。
高市氏の敗因について「首相経験者のキングメーカー同士の権力闘争」「選挙を見据えた国会議員の自己都合」など様々な指摘がなされています。どのような力学が働いたかは、私にはわかりません。
しかし、決選投票の2人の票差は20票ほどです。つまり10名強の投票が石破氏から高市氏に流れていれば結果は変わっていたことになります。
リアルタイムで状況を見ていて僅差での逆転となった時、原因の1つとして感じたのは、決戦投票前のそれぞれの候補の5分間スピーチの違いです。
石破茂氏が自らの政治活動を総括し、対立する議員に対する謝罪の言葉と気迫のこもった渾身のスピーチを繰り出したのに対し、高市早苗氏の演説は周囲への感謝の気持ちを繰り返す冗長なものに聞こえました。最終的には時間切れとなってしまい、何度も締まりの悪い印象でした。
緊張していたのもあるかもしれませんが、何を話すべきかに関する戦略が十分に練られていないように感じました。入念な準備の不足です。
勝利を確実なものにするためには、自らが総裁候補として懸念を持たれている点について簡潔に払拭し、ダメ押しをするべきでした。
また、やんわりと石破茂氏との違いを強調することで、自らの優位性をアピールすることも有効です。
更に女性初の首相として自民党の党内刷新によって選挙に勝てる顔であることももっと強調すれば、会場にいた議員の気持ちを動かしたはずです。
「たられば論」を今更言っても仕方ないとは思いますが、私が高市氏だったら最後の最後に詰めの甘さがあったことを後悔していると思います。
と、政治の素人が勝手な憶測で書いてみましたが、果たして高市氏は今何を思っているのでしょうか?
編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年9月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。