仕事は「しっぺ返し戦略」で対応する

取引先との関係は、出来る限り良好にして友好的にお付き合いしようと思っています。

必要以上に媚びへつらう必要はありませんが、悪い感情を持たれて良いことは何もありません。フラットに対応してお互いに気持ちよく仕事ができれば最高です。

ところが、取引先の中には無責任でいい加減な対応をするところや、何回も同じエラーを繰り返す困った会社も出てきます。

そのような会社に対しては、友好的な関係から180度転換し、問題点を指摘してかなり厳しく詰めるようにしています。

Liubomyr Vorona/iStock

つまり、平時は協調的にお互いに負担をかけないような関係を維持するものの、相手の対応に問題がある場合はやり返す。倍返しまではしませんが、「やられたらやり返す」という訳です。

これはゲーム理論における「しっぺ返し戦略(tit for tat)」と同じです。

しっぺ返し戦略とは、囚人のジレンマというゲームで、2者がお互いに協調か裏切りを選択して、無期限に繰り返しゲームを行う場合に有効とされる戦略です。具体的には、最初は協調を選択し、相手が協調を続ける限りこちらも協調し続ける。ただ相手が裏切りをしてきた時だけ同じように、こちらも裏切りを選択するというシンプルなものです。

この戦略が良い結果をもたらしている事実があるからです。しっぺ返し戦略がベストな戦略なのかどうかに関しては、批判や反証もあるようですが、有効な戦略であることは確かです。

これを取引先との関係に当てはめるなら、相手の対応がひどければ、こちらも厳しく対応してやり返す。ただしそれは1度だけで、相手の対応が改善されれば再びフラットな対応するべきということです。

実は、今週不動産物件の管理をしている会社の対応に問題があり、厳しく改善を要求しました。

果たして改善されるのかわかりませんが、きちんと修正してもらえれば、過去を根に持つことなくまた良好な関係を続けていこうと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年10月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。