ベネズエラ野党指導者の亡命をスペイン政府が加担

スペイン政府がエドゥムンド・ゴンサレス氏の亡命の道を用意した

ベネズエラの大統領選で勝利したエドゥムンド・ゴンサレス氏がスペインに亡命したのは、共産社会主義のスペイン政府がその為に加担したためだ。一方のスペイン政府のアルバレス外相は、ゴンサレス氏のスペインへの亡命に同政府が関与したことは一切ないと否定した。

結論から先に言おう。スペイン政府は選挙の勝利者をベネズエラから追い出したいという独裁者マドゥロ大統領の意向に従って動いたというのが真相だ。要するに、スペイン政府は独裁者マドゥロ氏の味方についたのである。

その仲介をやった人物が二人いる。ひとりは、スペインの元首相サパテロ氏と彼の右腕として活動しているベネズエラ議会の野党議員エンドロ・ゴンサレス氏だ。

サパテロ氏は以前からマドゥロ大統領の大使のような役目を担ってる人物だというのは良く知られている。スペインの元首相でありながら、独裁者の味方をしているのだ。だから、彼が行くところではいつも彼は市民から罵声を浴びている。それでも、彼はマドゥロ氏を味方して頻繁にカラカスを訪問している。

なぜ、サパテロ氏がマドゥロ大統領の手先となって外国で活動しているのか?その理由というのは、ベネズエラで違法に採掘されている金塊を密輸して得た利益の一部を彼が受け取っているからだとされている。或いは、金の一部鉱脈をマドゥロ氏は彼に譲渡した、とも言われている。

 エドゥムンド・ゴンサレス氏はマドゥロ大統領から脅迫された

エドゥムンド・ゴンサレス氏は、大統領選挙があった7月28日の翌日から自らの身の安全を守る為にカラカスのオランダ大使館に身を潜めた。潜伏している間に国外に亡命する意向を固めたようだ。

彼が隠れている間も、彼の家族の身の安全に不安が高まって行った。マドゥロ政権が彼の家族に危害を加える可能性が十分に予測されたからだ。そこで、彼は外国に亡命することを考えたようだ。

最終的にマドゥロ政権は彼がオランダ大使館に潜んでいることをつきとめた。マドゥロ大統領も75歳の彼を逮捕して刑務所に送るよりも、彼を亡命させることを望んでいたという。何しろ、大統領選挙の勝利者が国外に出れば、彼を支持して新政権の誕生を望んでいた有権者も意気消沈するであろうと考えたようだ。

そこで、この場面で登場するのがサパテロ氏である。彼はその時、中国を訪問していて、サンチェス首相の北京訪問への下準備をしていた。サンチェス首相が唯一頼りにしているのがサパテロ氏だ。二人とも同じムジナである。

そこで、サパテロ氏の代理としてエドゥムンド・ゴンサレス氏と接触したのがベネズエラで影響力のある上述したエンドロ・ゴンサレス氏であった。両者は密かに交信して、エドゥムンド・ゴンサレス氏にカラカスのスペイン大使館に移るように説得。彼もスペインに亡命を望んでいたので9月5日に同大使館に移った。

マドゥロ大統領の腹心の二人がスペイン大使館を訪問

二日後の9月7日、マドゥロ氏の腹心デルシー・ロドリゲス副大統領と彼女の兄でベネズエラ議会の議長であるホルヘ・ロドリゲス氏の二人がスペイン大使館に現れた。デルシー・ロドリゲス副大統領はEUの制裁でEU圏内に足を踏み入れることが禁止されている人物。だから、スペイン大使館は絶対不可侵ということで、彼女は入館できないはず。ところが、大使のラモン・サントス氏はそれを許すという重大な過ちを犯した。

スペイン大使館内で交渉が行われた。その基本的な内容はエドゥムンド・ゴンサレス氏が自らの勝利を放棄すること。その代りに、スペインへの亡命を許可するというもの。それを受け入れない場合は無期懲役で収監されることになっていた。この二者択一を迫ったのである。勿論、エドゥムンド・ゴンサレス氏は当然スペインへの亡命を希望した。

実際、9月5日からサント・ドミンゴでスペインの軍機が既に待機していて、彼が亡命することを承諾し署名したあと、待機していた軍機がカラカスに着陸。彼と夫人を搭乗させてスペインに向かったのである。

このように段取りの良い手配は、スペイン政府が事前にマドゥロ政権と交渉していなければできなかった。それをアルバレス外相は現在もスペインはこの亡命にマドゥロ政府とは一切関与していないと主張しているのである。