資産1000万円、1億円、10億円の作り方

資産運用の仕事を30年以上続けてきてわかったことは、目標とする資産金額によってやり方が異なるということです。厳密な金額分けではありませんが、わかりやすくするために1000万円、1億円、10億円と3つのレベルに分けて説明してみます。

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資産を1000万円作るのはそれほど難しいことではありません。必要な能力は「勤勉」と「節制」です。

まずは仕事を真面目にやって定期的な収入を確保する。節制することによって、その中から投資に必要な資金を捻出する。そしてそれを税制優遇枠のNISAを使って積立でインデックス運用する。

毎月3万円の積立でも10年で元本は360万円になります。値上がり益は保証されているものではありませんが、20年以内には1000万円に到達することになるでしょう。

資産を1億円作るには、単に自分の稼いだお金をコツコツと増やしていくだけでは時間が足りません。毎月NISAに30万円積立できるような人でなければ、金融資産だけを使って1億円以上の資産を構築するのは、かなり難しいと思います。

そこで必要になる能力は「レバレッジ」です。

自分の所属する組織の信用力によって「お金を借りる力」を得ることができれば、年収の8倍から12倍くらいまでの借入を行って不動産を購入することができます。

不動産の賃貸利回りと借入金利の「金利差」によって、借りたお金から収益を生み出す「仕組み」を作ることができます。空室率が低く、家賃が下がりにくい物件を選べば、手間やストレスはほとんどありません。

借りたお金を返済すれば、物件が資産となります。

金融資産は自分の持っているお金しか運用できませんが、不動産は借入したお金にも働いてもらうことができる。この差が資産形成のスピードの差につながるのです。

資産10億円のレベルになってくると、「レバレッジ」だけでも不十分です。必要なのは「リスクテイク」と「インナーサークル情報」です。

私の周りにいる資産10億円以上を保有している人を見ると、その実現方法は親の七光り、事業に成功した経営者、暗号資産、未公開株という4つのパターンに分類できます。

親の七光りと経営者は資産運用とは関係ありませんから、暗号資産か未公開株にチャンスがあることになります。どちらも極めてハイリスクな投資対象ですし、投資詐欺に巻き込まれるリスクも低くはありません。

一方で、これまで私が関わった案件の中にはどちらも投資金額が100倍以上になるような投資例もありました。

もし、10の案件に投資をしてその内の1つが100倍になれば全体では10倍になります。どこまでリスクを取るかを慎重に判断する必要がありますし、信頼できる確率の高い情報を手に入れるルートも必要です。

投資で10億円を達成する方法はこれくらいしか無いように思います。

どのレベルにしても資産運用は戦略を立てて、正しい方法で続けていれば高い確率で目標達成できるものです。間違ったやり方で失敗して途中でやめてしまうから成果が出ないだけです。

自分の仕事からの稼ぎの「手取りを増やす」ことも大切ですが、それと並行してお金にも働いてもらって労働収入以外の手取りを増やすこともやるべきだと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年10月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。