日本人の完璧主義がもたらす「悪い結果」

ステレオタイプに決めつけるつもりはありませんが、日本人は完璧にやることを優先し失敗を恐れる行動をする傾向があると感じます。

これは、投資において悪影響を及ぼす恐れがあります。

例えば、未公開株式という投資対象があります。上場する前のスタートアップ企業の株式を取得し、上場や株式売却のタイミングでリターンを狙うものです。

うまくいけば、大きなリターンが得られる投資ですが、成功の確率は必ずしも高くありません。

10社に投資して、1社がうまくいけば上出来とも言われます。最悪の場合は投資先が破たんして元本が消えてしまうリスクもあります。

成功率10%とすれば90%が失敗するわけで、完璧主義者には決断できない投資です。

しかし、成功した1社が株式価値100倍になれば、確率10分の1であったとしても、トータルでは10倍となります。

実際私が今まで投資した20近い未公開株式のうちの2社は株式価値が100倍以上になりました。

未公開株式のような超ハイリスクな投資対象に限らず、投資には多かれ少なかれ必ずリスクが存在します。

絶対に損をしたくないという人には、永遠に投資の機会は訪れません。

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完璧主義は、投資だけではなく日本人の語学能力にも影響していると考えられます。

英語を勉強しても、日本人は英会話ができるようにならないとよく言われますが、その原因の1つが、失敗を恐れて喋ろうとしないことにあるように思います。

文法的に「正しい英語」を目指しているのですが、これはアプローチ方法が間違っています。ブロークンでも良いから、とりあえず自分の意思を伝える手段として使ってみる。

場数をこなすことによって、発音や文法がめちゃくちゃであっても、何とか話せるようにはなるのです。

今や英語は世界の公用語であり、イギリス人やアメリカ人より、アジアなどの非英語圏の人たちとのコミュニケーションの機会が増えています。クイーンズイングリッシュを話す必要はありません。

SNS上などを見ても、いまだに重箱の隅を続くような批判を繰り返している暇な日本人がたくさんいます。

失敗に対して不寛容な日本社会が、どんな未来をもたらすかは、以前のこちらのブログにも書いた通りです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年10月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。