お隣は敵、分断化する国家:日本でもSNSの刺激が分断を促進

アメリカでは食事中に政治の話をするなというのは私が20歳の頃に初めて行った時から言われていたことですが、最近の国家分断の様相を見ているとアメリカだけではなく、日本を含め、気をつけなくてはいけない事態になって来たようです。今回衆議院選挙中も維新の音喜多駿氏が40人近い人に囲まれ、暴行を受けたとされます。信条の自由がある民主主義国家ですら自分と考えが合わない人を暴力で追い落とす行為は今後も続くのでしょうか?

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ジョージア、人口400万人の小さな国ですが、南がトルコ、北にロシアという地勢から欧州とロシアの接点の国の一つとされ、双方から綱引きがある国です。今回同国で議会選挙がありましたが、与党で親ロシア派が勝利したことに野党の親欧州派が不正選挙を訴え、激しいデモを行っています。国民にとってどちらにつくのが得策か判断が完全に別れるのです。そのため、同国ではEUの加盟手続きが取られていたのに凍結になりました。

これと似た構図がウクライナでもあります。今の戦争が始まる前、東部ウクライナに住むロシア系住民と親ロシア派は西部ウクライナと居住地が分離する状態にありました。それがロシアのチカラによる切り離し工作になったといってよいでしょう。

いわゆる体制とそれに反対する勢力は常にどこでも起きます。例えば台湾を考えてみましょう。我々日本人は台湾が中国の一部になることに反対しています。ではなぜ、と考えた時、その理由を明白に説明できる人はどれぐらいいるでしょうか?民主主義に反するとか主権をチカラで捻じ曲げるのはどうかとか、権威主義は悪であるとか、更には中国が台湾を取ったら次は沖縄じゃないか、という懸念でしょうか?

ジョージアやウクライナのように常に体制派と反体制派が混在する社会は台湾でも同様です。第三国である日本の立場は民主主義圏にある一国としてその勢力争いに加わっているというのが立ち位置でしょう。一方、約半数の台湾の人は「ほっておいてほしい」という気持ちではないでしょうか?台湾の地位は非常に微妙な歴史でした。そもそも台湾を民主主義陣営に取り込みたいなら台湾を国家として承認すべきですが、大国や近隣諸国は誰もしません。理由は中国との取引がよりおいしいからです。

実際に分断しているのが朝鮮半島で北と南に国家として分離しています。半島は戦後初期の共産主義と資本主義の争いによる分裂であり、悲惨な国家離散であることはご承知の通りです。同様に第二次大戦後の東欧諸国も非常に難しい立ち位置だったと思います。共産主義ロシアと欧州との間のベルト地帯だったとも言えます。が、チェコスロバキアは二つに分裂し、ユーゴスラビアはコソボを入れると7つに分裂しました。そして今でもロシアと欧州による激しい綱引きが行われており、国民は「慣れ親しんだロシア依存型」と「西側思想を取り込みたい変革型」に分かれます。

カウントダウンが始まったアメリカ大統領選挙。どちらが勝っても激しい抵抗があるかもしれないとみられています。国家が分断するほど許せない間柄になったのはなぜなのでしょうか?

社会基盤が充実してくるとより自分たちに利益を求めるようになります。しかし、その作為に対して必ず反対する人が出てきます。これが社会分断の初期的現象です。これを政治や裁判に訴え、自分の地位や主張を通そうとします。これも負けると自分と同じ考えの人を巻き込み大きな社会の流れを作ろうとします。雪だるまのようにどんどん大きくなる勢力が時として国家の判断を変えることになり、更に勢いづく、これが保守派との大バトルになると考えています。

とすれば個々人の地位認められ、より充実すれば国家はまとまらなくなるのは必然だと言えるのです。例えば私はインドは将来大バトルになる国だろうと予想しています。あの国は言語すら国内でまともに通じ合えないほど一体感がありません。共和という思想がどれぐらいあるのか私には想像できないのです。

残念ながら現状、社会の分断化は進むでしょう。調和というのは忘れかけた言葉になるのでしょうか?先日、長年付き合いのあるアフリカのスワヒリ系の方と話をしていた時、アフリカ人は金にならないことは一切やらない、協力もしないと言っていました。まだまだ自己中心社会であり、社会の一員という発想がないのでしょう。

日本は世界と比べれば分断化はほとんどありません。しかし、SNSなどによる刺激がそれを促進していることは否めないのが現実社会ではないでしょうか?

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年10月31日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。