消費税減税の前に「ふるさと脱税」廃止じゃないのか?

与党も野党も選挙になるとバラマキ政策で表を買おうとしています。流石に選挙直前に公明党が貧乏人に10万円バラマキます、というは批判を受けましたが、野党のバラマキ政策は歓迎されたのでしょう。

消費減税、実現には難題 税率、国民民主「5%」維新「8%」 代替財源みえず15兆円減収も 日経新聞

衆院選の公約で国民民主党や日本維新の会は消費喚起策として5~8%への消費税率の引き下げを訴えた。消費税は社会保障費をまかなっており、仮に税率が引き下げられた場合の代替財源はみえない。数兆円を上回る税収減を国債発行でまかなえば、財政の健全性が損なわれる。

消費税収は2024年度の予算ベースで23.8兆円と、国の一般会計税収およそ70兆円の3割余りを占める。

5%から10%への引き上げで得られた税収増は、24年度当初予算ベースで10兆円超にのぼる。

消費減税は与党の自民・公明、野党第1党の立憲民主党を除いて多くの党が公約に明記する。国民民主は「実質賃金が持続的にプラスになるまで一律5%」に引き下げると主張した。

維新の会は「経済活性化施策として消費税を8%」に下げる意向を示す。共産党やれいわ新選組なども減税や廃止を盛り込んだ。

消費税率を5%に引き下げれば、財務省は「15兆円ほどの社会保障財源がこれまでより不足する」とみる。国民民主は保険料と税などの家計負担を減らすことで手取りを増やし、消費につなげると訴える。

今後は少子化対策が重要度を増し、高齢化により社会保障の費用は今後も膨張を続ける。社会保障給付費は18年度に121兆円だったが、高齢者人口がピークを迎える40年度には最大190兆円に膨らむとの試算もある。

石破茂首相は10月に「消費税を減税するやり方を取ったとしても社会保障の安定的な財源が確保されない」と指摘し、引き下げを否定した。

社会保障費は年に3兆円のペースで増えています。これにどう対処するのか。ほとんどの政党はこれを無視しています。毎年3兆円ですよ。ところが野党も与党もこの環境下で減税とバラマキ政策をいうだけです。

総務省ふるさと納税ポータルサイトより

仮に国民民主党が政権を取って公約を全部実現すればたちどころに税収が激減し、赤字国債の大量発行となります。そうなれば円の価値は大幅に下がるでしょう。例えば1ドル300円になったら、エネルギーや食料品はほぼ倍になります。それで国民の暮らしは良くなるのでしょうか。

そしてこの期に及んでもどこの政党も「ふるさと脱税」こと「ふるさと納税」すら廃止しようという野党はありません。これまた不思議なことだと思います。

このGDPの2.6倍の巨額の財政赤字をどうするのか。そういう話をする政党が殆どないのは、国民の側も財政赤字についして知らずに、バラマキ政党を歓迎してきたからだと思います。

中学高校での社会科教育にも大きな問題があります。単なる学問、それも現代社会はほとんどに入試でも必要ないわけです。歴史にしても近代以降は殆ど教えません。社会に対する教育のレベルが低い。更に申せば、本来自分の身近な問題である社会科の教科という視点が欠けています。ある意味家庭科みたいなアプローチの社会科のあり方も必要かと思います。

【本日の市ヶ谷の噂】
防衛医科大学校病院救急部長清住哲郎は、防衛医学講座の教授当時に、身の程知らずにも、大学評価学位授与機構の教官審査(博士課程の学生を自分の研究室に受け入れ可能な資格)に応募したが、筆頭論文は1編でだけ。さすがに当時の担当桜井副校長がなだめすかして取り下げをさせた。だがその後、救急医学に無関係なお遊びのような論文を書いて、再度応募し、お情けで、教官審査(博士課程の論文審査に加わることができる資格)をもらった、との噂。

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。

Merkmal(メルクマール)に以下の記事を寄稿しました。

月刊軍事研究に「ユーロサトリでみた最新MBTの方向性」を寄稿しました。

軍事研究 2024年 11 月号

Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。

European Security & Defenceに寄稿しました。
JGSDF calls for numerous AFVs within Japanese MoD’s largest ever budget request

東京新聞にコメントしました。
兵器向け部品の値段「見積り高めでも通る」 防衛予算増額で受注業者の利益かさ上げ 「ばらまき」と指摘も

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
海上自衛隊の潜水艦メーカーは2社も必要あるか川重の裏金問題で注目される潜水艦の実態


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2024年10月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。