人生の格差は中年以降に拡大する理由

黒坂岳央です。

20代はほとんど格差を感じなかった人も、30代、40代と年を経るごとに取り返しがつかないレベルに差を感じることがないだろうか。ここでいう格差とは経済格差だけでなく、健康や選択肢の量や質、人間関係などを含めた人生総合的なものだ。

元々、実家が太い細いという議論もあるが、本稿でいいたいのはそういう経済政策を絡めたものではなく、もっと個人間で取り組めるレベルの話である。結論を先にいうと、格差がつく最大の理由は「再投資」をしているかどうかである。

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自分への「再投資」で格差は拡大する

余剰のお金や時間を得たらそれを何に使うか?中年期以降に格差がつく最大の理由はここにある。

余暇時間をダラダラ動画を見て過ごすことに使う人と、仕事の生産性や所得水準を高めたり、体力増強といった資本力増加に投資し続ける人とでは経済力に絶望的な格差がついてしまう。

「そうはいっても何をすればいいかわからない」という人は、ビジネストレンドをリサーチすれば答えが出る。今なら生成AIの使い方を学べばいい。あらゆる仕事に応用できるスキルだからだ。

また、余剰のお金を得たら快楽、娯楽に使う人と、自らの学習や資産運用に回す人とで格差がついてしまうことは明白だ。

再投資の恐ろしいほどの威力は株式投資などに限った話ではない。何より「自己投資」の分野で最も差が拡大する。

昨今、NISAが活況でも自己投資が活況という話は聞かない。だが世にあるどんな優良銘柄より自分に投資するのが最もリターンが高いことを忘れてはいけない。自分への再投資、この感覚があるかどうかで人生の格差は大きくついてしまう。

極端な例だが、ビジネススキルを磨いて独立すれば、年次リターン5倍、10倍も全く珍しくない。しかもその効果は利益確定して終わりの株投資と違って、基本的に継続する。こうなると株のリターンどころの話ではない。必死に節約をして株を買うより、もっと自分のスキルを高めることに投資するべきだ。

再投資のリターンは拡大する

自分への再投資をすることのリターンは年々、ドンドン拡大するという特徴を持つ。まさに株式などでいう複利のパワーを感じることになるだろう。

これは一つのモデルなのだが、ビジネススキルを高めて所得を増やすと、徐々に毎月完全に使い切らなくてもお金が余るようになる。すぐ使わない現金を資産運用で回すことで、「二馬力」の収入に変わる。

ビジネス収入が増えると、ふるさと納税の返礼品が増えたりポイントで買い物ができるので生活費が下がる。独立して法人化すれば、個人事業主の時より節税の幅が増える。時間に縛られないので、スキマ時間に運動をして体力をつけることができる。

そしてどこかのタイミングで資産運用の収入が本業のビジネス収入を超える時がやってくる。いわゆるr>Gだ。ビジネス収入より資産運用の収入は分離課税で税金が安い。

このように努力して得た富や時間をドンドン再投資を続けることで、中年期以降に途方もない格差になってしまう。こうなると一朝一夕で巻き返すことはできなくなるのだ。

中年期以降に格差が絶望的についてしまう理由、それは「再投資」の概念があるかどうかである。得たお金や時間を娯楽に使って消費し続けても後には残らない。もちろん思い出を作ることは大事だが、思い出にならない消費より再投資をすることで人生そのものを豊かにすることが大事ではないだろうか。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。