高級ロレックスが似合う営業、安物時計が似合う営業

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商品を購入しようとして対応してくれたスタッフが高級ロレックスを付けているのと、安物の時計を付けている場合、どちらの方が信用できるのか?これはなかなかに難しい問題です。

 

高級ブランドを扱っているお店や、ロールスロイス、フェラーリといった高級車のディーラーなどでは、高級品を身に着けて顧客に対して「無言のマウンティング」をすることが大切です。

例えば、ラグジュアリーグッズを取り扱っているお店の店員さんは、ほぼ例外なく社割で買った(笑)自社の製品をビシッと身に着けて、隙のない身だしなみを整えています。

テロテロのスーツや安物のボサボサの髪に、磨いていない靴といった服装では、せっかくの高級品をこの人から買っても良いのかと気分が上がらないからです。

金融商品や不動産などの投資商品になると少し変わってきます。投資銀行や不動産会社でもだらしない服装をしていると仕事もだらしないと思われてしまい、顧客は不安になるものです。

しかし、金無垢のロレックスのような華美すぎる時計を付けていると、顧客からは何か悪いことでもして儲けているのではないかと勝手に妄想して不安になる人も出てきそうです。金融機関ならグランドセイコーのような国産の高級時計が良いのかもしれません。

ゆうちょ銀行や地元の信用金庫で外回りの営業をしている人になると、隙の無い服装よりもむしろちょっと心配になるようなタイプの人の方が親しみが持てて、顧客が安心することもありえます。

つまり、顧客が勝手に妄想するそれぞれのイメージにフィットするような身だしなみをすることが、営業で成果を上げるために大切ということになります。

私はここ10年いつもTシャツにジーンズとスニーカーといったカジュアルな服装で仕事をしています。資産運用を商売にしている者として、このような服装はマイナスイメージを与えるミスマッチなものだと理解しています。

しかし、イメージの重要性はわかっていても、会社勤務をやめてからはどうしてもスーツを着る気になれないのです。

もしスーツとネクタイをパリッと着こなして営業をしていたら、資産デザイン研究所はもっと大きく成長していたのかもしれませんが、負け惜しみではなくそのことに対する後悔はまったくありません。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年12月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。