あなたは正しく使えてますか? 日本の伝統行事から学ぶ語彙力向上法

季節は師走にはいりました。クリスマスが過ぎれば一気にお正月モードです。玄関にしめ縄を飾り、暮らしの大切な場所に鏡餅を供え、大みそかは年越しそばを食べて紅白歌合戦を見ながら除夜の鐘を聞く。平凡ながらも幸せを実感できる瞬間です。

筆者は文章術や語彙力に関するポストを発信しています。今年は、お正月に関するポストを流しました。反響の大きかったものを紹介します。

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皆さまも考えてください

(1)お正月編

A氏:新幹線が帰省ラッシュで激混みだな
B氏:「お正月休み」ですから

お正月とは年初のこと。旧年の終わりと新年を祝うことです。行政は12月29日~1月3日までを休日にしています。一般企業もこれに準じています。交通機関は休日ダイヤで運行します。

(2)心願成就編

A氏:初詣に行ってお願いをしてきたよ
B氏:「心願成就」ですね

心願成就の「心願」は心の中、「成就」は願いのこと。願いが具体的でない場合「神恩(しんおん)感謝」と願います。神様に感謝の気持ちを伝え、さらなる幸せに導いていただくことを意味します。

(3)出雲大社編

A氏:出雲大社に初詣に行ってきたよ
B氏:出雲大社(いずもたいしゃ)は由緒ありますね

正式には「いずもおおやしろ」。地元でも「おおやしろ」と呼ばれています。近代社格制度下において唯一の「大社」です。二拝四拍手一拝の作法で拝礼します。

(4)初夢編

A氏:正月に宝船の夢を見たよ
B氏:初夢ですか? 縁起がいいですね

初夢とは、元日夜から1月2日にかけて見る夢のこと。大みそかから元日ではありません。これは明治改暦以降に広まった風習です。宝船の絵を枕の下に敷くとよい夢が見られるそうです。皆さまは、いい夢を見られましたか。

(5)年賀状編

A氏:「賀正」と書いた年賀状を送ってくる部下がいたよ
B氏:なんと! それは失礼ですね

新年の言葉は意味を理解して使いましょう。「謹賀新年」などは目下が目上に送る言葉。「賀正」「迎春」などは目上が目下に送る言葉。マナー違反になってしまいます。

なぜ、語彙力が必要とされるのか

最近、語彙力に関する記事を見かけることが増えました。「大人にふさわしい語彙力をつけたい」というニーズがあるように思います。状況を俯瞰しながら言葉を使い分けるスキルは、さまざまな場面で役立つことは間違いありません。

スマホで文字を書くことが多くなったせいか、意味不明な言葉や文章が増えたように感じています。言葉は、コミュニケーションの手段として、なくてはならないもの。あなたの評価を高めるためにも、使い方を覚えておきましょう。

(コラムニスト、著述家 尾藤克之)

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