コインチェック上場で期待する「日本の暗号資産業界の革命」

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マネックスグループ傘下のコインチェックグループがアメリカのナスダックに上場したと日本経済新聞が報じています。

 

日本の暗号資産取引所運営会社では初の上場で、ナスダックでも暗号資産関連企業の上場は2社目のようです。

コインチェックは2018年1月に暗号資産のハッキングの被害を受けてマネックスグループが買収しました。その後、体制を整えてSPACと呼ばれる上場している会社に合併させる手法を使って今回の上場に至りました。

2018年当時はハッキング騒動の影響で暗号資産は全体に急落し、ビットコインも30万円台まで値下がりしました。そのビットコインは現在10万ドル(約1,500万円)を超える水準まで50倍の上昇となっています。コインチェックも買収時の70倍以上の時価総額に成長しています。

マネックスの創業者である松本大さんは大学時代のクラスメイトで、1999年にマネックスを設立した時から12年間一緒に仕事をしました。

当時から新しいイノベーションに対する理解と元トレーダーとしての資本主義マーケットに対する嗅覚がずば抜けていて「ゼロからイチ」を作り出す才能に溢れていました。

また、物事を継続する勤勉な性格と仕事に対する誠実な姿勢はいつも変わらず、それが多くの人からの信頼と人望を集めていました。

今回の上場はそんな彼の卓越した才能と不断の努力、そして周りにいるメンバーのコミットメントによって成し遂げられたものだと想像します。

日本の暗号資産業界は、コインチェックとビットフライヤーの2強になっています。

今後ビットフライヤーの上場も予定されているようで、2社によるマーケット再編が進むとの予測もあります。

そんな暗号資産に対する国内のイメージは、残念ながらまだ良いものではありません。いかがわしい投機対象という位置付けです。

また、金融庁の規制のせいもあって、個人投資家にとって必ずしも使い勝手のよい投資対象とは言えません。ビットコインETFの取引は日本国内では認められておらず、現物の暗号資産も取引の制約が強い状態です。

先週もコインチェックとは別の国内暗号資産取引所に対して出金依頼しましたが、送金完了まで1週間近くの時間がかかりました。これでは投資商品として金融商品のように安心して使える状態ではありません。

マネックスは1999年10月1日の株式売買手数料完全自由化の際、ネット証券として従来の手数料の約10分の1となる最低1000円を打ち出し、証券業界の価格革命をもたらしました。

次は今回の上場を機に、日本の暗号資産業界に再び革命を起こして欲しい。コインチェックグループが業界のリーダーとして日本の暗号資産マーケットを良い方向に変えていくことを期待し、応援しています。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2024年12月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。