「ロワイヤル・モンソー ラッフルズ・パリ」のビュッシュ・ド・ノエル&ガレット・デ・ロワ。
春にシェフパティシエというかコンサルティング的シェフパティシエに就任したヤジッド・イシュムラエン。ラグジュアリーメゾンとのコラボも多く世界で華麗に活躍するスーパーシェフパティシエ、彼の半生を題材にした映画(日本では”パリ・ブレスト 夢を叶えたスイーツ”という題)もあり、知名度抜群(映画と縁がない私は、まだ観てない…)。
そんな大注目シェフパティシエの、このパラスホテルでの初めてのクリスマスシーズンコレクション。とっても楽しみにしてた。
ビュッシュ・ド・ノエルは、ロワイヤル・モンソーの美しいファサードがモチーフ。デザインセンス抜群のこのホテルらしい魅力。
建築美溢れるビュッシュは、ショコラ、キャラメル、クリスマススパイス。誰にも愛されそうな、優しくデリケートなおいしさ。
同じ風味の構成で、ホテルの人気イタリアレストラン「イル・カルパッチョ」のデザートも誕生。きれい~。こういう見た目、大好き。味はもちろん、温度や食感も素晴らしい!どこまでもシンプルに、そしてとぎすまされたおいしさ。
ヤジッドは、モンテカルロの「メトロポール」のジョエル・ロビュションで働いていて、ムッシュ・ロビュションのストイックなミニマリズムに惚れていたそう。いわば、巨匠のジャガイモピュレのお菓子版。お見事。
オレンジがふわっと香るフランの、薄い生地もとろっとしたクリームも、たまらない。シンプルな中に際立ったおいしさがたっぷり宿ってる。
ヤジッドのお菓子いただくの、多分初めてだけど、世界で活躍する理由がよくわかる。
“味のバロメーターは、養ってくれた家族がおいしい、と言ってくれること。ガストロノミーとは縁がないごく一般的な家庭の彼らがおいしいと感じてくれる、シンプルで分かりやすいおいしさを大切にしているんだ”とヤジッド。
これぞガレット・デ・ロワの基本形!と見た目にまず拍手した、レイエの入れ方も美しいガレットは、ショコラ&洋梨。フイタージュの香りも焼き加減も、優しいトーンのフランジパヌも、ぴったり好み。他のお菓子同様、これも、シンプルかつおいしさの奥ゆきが素晴らしい。
“ガレットは、ここのシェフパティシエやってくれているアレクサンドル・ファヴルの作品だよ”とヤジッド。
聞けばアレクサンドルは、シュヴァルブランでマキシム・フレデリックチームにいたそう。納得。マキシム→セドリック→カミーユ→クリストフと遡るこの系統、ほんとよいパティシエを育てる♪
期待以上の素晴らしさに拍手喝采。夕食あるので泣く泣く少しずつ残してしまったのが残念無念(ガレットは完食)。
ヤジッドはもうすぐ、パリでクリック&コレクト店をオープンする。そちらもとっても楽しみ。
編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々5」2024年10月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々5」をご覧ください。