今、カタールにいる。今年3度目のドーハだ。
機内で「Civil War」という映画を見た。米国の将来の姿(内戦)を描いたそうだが、単なる人殺しの映画だった。最後は血気にはやったカメラマンを救うためにベテランのカメラマンが命を落とすというアメリカ人好みのストーリーだが、世界中の各地で悲惨な殺し合いが起こっている。
ウクライナ、中東の争いは日々ニュースでも流れているが、日本のノーベル平和賞受賞がむなしく聞こえてくるような世界の惨状である。正義を標榜する戦いで、日々多くの罪のない命が失われているのは、矛盾と言わざるを得ない。確かに正義の定義は、どこから見るかによって変わるが、正義という名を振りかざして人の命を奪っていく矛盾に満ちた世界はどうなるのだろうか?
隣国である韓国の状況も一瞬先は闇の状態であり、北朝鮮のロシアへの兵隊派遣も相まって、朝鮮半島も急に流動化してきた。雪解けしてきた日韓関係も、明日は氷河期に逆戻りしてしまいそうだ。こんな状況で不安定な日本の政権で、事が起こった時に対応できるのか、不安でいっぱいだ。来月には、米国で新政権が発足し、予測できないような事態が勃発する可能性がある。
その米国では、自動運転車の起こした事故報告義務が解除されそうだし、NASAの予算も30%カットという噂が流れている。自動運転車の規制緩和、宇宙開発の公的資金減少など、トランプ次期大統領のお友達が喜びそうな言葉だ。
自国・自国民にとって大事かどうかというオブラートで包んでいるものの、米国の政治は寄付やロビー活動などあからさまな利益誘導で動かされている。いつまで続くのかわからないが、ワイドショー的な裏金問題を引きずり、国の重要課題が議論されないままでいいのだろうか?
今日のカタールは最高気温20度で、快晴、気持ちよく過ごしている。こんな気候のもとに暮らせればいいなとぼんやりと考えていたが、目が飛び出るようなランチの値段で幻から覚めた。クラブサンド、水、コーラで8000円もした。日本円が弱すぎるのか、日本の物価が安すぎるのか?考えられないような国内外格差だ。
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編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2024年12月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。