若い頃より中年になってよかった3つのこと

黒坂岳央です。

「年を取ると体力がなくなり、頭も動かなくなって、病気になり…」という具合に「とにかく年を取ることは良くない。不幸になる」という意見が非常に多い。

筆者は昔から散々、この手の話に脅されて来てずっと年を取ることが怖いと思っていた。しかし、いざ中年になると「思っていたより年を取ってもいいことはたくさんある」と感じる。むしろ若い頃より幸せに感じることも増えた。その理由を取り上げたい。

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人目を気にしなくなる

誰しも、若い頃は人目が気になって思うように動けない事が多い。

小学生の息子は制服の半ズボンで登校しているので、「冬は寒いから温かいもの履いたら?」というと「友達から変だと思われるからダメ」と頑なに拒否されてしまう。その返答を聞き、「ああ自分も昔、同じように思っていたな」とどことなく懐かしく感じてしまった。

ところが年を取ると段々、人からどう思われようとほとんど気にしなくなる。「自分をよく見せたい!」という欲求が消えてなくなったのは、仕事で承認欲求を消化しているだけでなく、年齢の影響もあると思っている。

こうなるととても楽だ。人目を気にしてやりたいことを我慢する、ということが一切ない。自分が好きなことを気にせずできる。これで人生はとても楽になった。

ただし、ここでいう「気にしない」とはビジネス感度や不快感のない外観のことではない。メタ認知能力、ビジネス感度は鋭敏に保つ必要があるし、見た目はある程度整えるのがマナーなのでそれはまた別の議論が必要だ。

気持ちが安定した

若い頃はとにかく感情が爆発しやすい。欲しいと思ったものは貯金箱を空っぽにしていたし、怒りを感じたらドカンと爆発させてしまう。

ところが年を取ることで誰しも感情のコントロールが上手になっていくのが普通だ。「この場で声を荒げるのは得策ではない」とか「別に取り乱すようなことじゃない」と考えて冷静に対処できる。欲しい!と思ったものは借金して買う代わりに、何日か欲しい気持ちを寝かせて本当に必要か?を見定める。

気持ちが安定すると人生は一気に楽になる。突発的な感情の高ぶりがなくなれば、対人関係をはじめあらゆるトラブルが減るからだ。ケチを付けられても、不義理をされても血の気荒く正面から応酬せずに、静かにそっと立ち去ればいい。衝突が減れば時間も節約できるので、本来自分がやりたいこともできる。

応援する立場は楽しい

若い頃は学業、キャリア、独立などずっと「応援される立場」だった。

ところが中年になると今度は応援する立場にまわることが増えた。今でも仕事でリスクを取って挑戦する姿勢は忘れていない。だが、年を取るとどうしても子供を抱えたり、仕事でもお客さんや後輩をサポートする立場が多くなる。「自分が主役。自分がプレーヤー」という年齢ではなく「プロデューサー」の立場が増えていく。

これまでずっと応援される側だったので知らなかったのだが、応援する立場は楽しい。子供に勉強や運動を教えて見る見る上達していく様子を見たり、お客さんにサポートをして感謝されるのはとても嬉しくなる。自分の人生が豊かになる、成功するよりも、周囲の成功から多くの幸福を引き出せるようになっていく。

アメリカの調査では40代半ばが人生で最も幸福度が落ちるという。だが、自分は先回り予習をして上手に乗り越えたいと思っている。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。