日本の政治は居所を変えるか?

昨年吹き荒れた政治とSNSの動き、そして国民民主党人気と103万円の壁が動いたことは大きなムーヴメントで無党派と称する政治に興味がない層も政治になだれ込んでくるような勢いを感じます。

今年、2025年は日本も選挙イヤーとされます。ほぼ同時期に行われる6月下旬頃の参議院選挙と東京都都議選が最大注目で更に衆議院解散選挙があるのかも取りざたされています。

まず都議選から見てみたいのですが、最大の注目は石丸伸二氏が地域政党型の新党を立ち上げて都議選に登場するという計画です。石丸人気は氏が善戦した都知事選以降も斎藤元彦、玉木雄一郎両名の戦いぶりという形でSNS選挙、20-40代の層の取り込みの勢いを新しい動きであり、夏の都議会選でも当然着目されそうです。

石丸氏は当初国政を目指すのではないかとされましたが、地域政党に絞り、自身の知名度が上がった東京都をそのターゲットとしました。その選択は正しいと思います。一つは東京都の地域政党の代名詞、都民ファーストが勢いをなくしつつあること、自民党都連が政治資金収支報告に不記載の裏金が3千万円もあるのではと朝日新聞が報じるなど都議会議席数NO1の自民、NO2の都民ファ共に向かい風にあります。3位が公明で23名も議員がいるのですが、国政の流れも含めたバランス感覚で見ると公明のこの議席数は多すぎるように見えます。

よって上位3つの政党が議席数を落とすベクトルにあるとすれば、残りの政党で奪える状況になるのですが、正直、パッとした政党がないのです。NO4が共産党、NO5が立憲で残りは泡沫政党です。東京都は保守本命が大好きですが、もはや自民党型保守というわけではなく、小池氏のスタイルである高齢者に優しい保守でもなく、未来を期待できる東京都にしたいというマグマが溜まっているように見えます。その意味で石丸旋風が再度吹き荒れ、もしも氏の立ち上げる新党に強い追い風があれば参議院選挙には大きな影響となるでしょう。

一方の参議院選を含めた国政における最大のテーマは誰が誰のために政治をするのか、また、財務省が見えざる手で支配し続けるのか、であります。個人的には自民党が推し進めた保守、特に地方政策は長期にわたり「安定的後退」をもたらしたと思っています。その最大の問題の一つはJA(農協)であります。私から見れば農協と農家の関係、さらには自民党が寄り添うその特殊な構造こそ日本がより高い生産性と農業の活性化を拒んだ一つの要因だと考えています。

地方は保守的になりやすいというのは世界どこを見ても同じです。ただ、見方を変えれば日本では地方を地方という枠組みに押し込んでしまったからではないか、とも思えるのです。

日本の国土はアメリカやカナダのような広大な国ではありません。それ以上にきめ細かく張り巡らされた交通網で地方から主要都市に出るのは極めてたやすく、また日本人はアメリカ人やカナダ人よりも人の往来が激しいです。とすれば地方と都市部の根本的意識差はアメリカを含む他国ほどではなく割と近い関係にあるのではないでしょうか?その視点に立てば国政からみた地方の捉え方も今までのような自民党のやり方がデフォルトではないと思うのです。

玉木雄一郎氏はワンイシュー型戦略でその知名度を大きく伸ばしました。日本の政治について語るとき、主要政党が並べる5つ、6つもの政策提言見せられても多くの国民は???なのだと思います。自分が一番困っている「これ」に焦点を当てた選挙戦が今年の選挙戦も制するとみています。

国民民主・玉木代表と維新・前原共同代表 国民民主党HPより

わかりやすい例えで言うと自民から共産までの主要政党は総合型です。だけど最近は特定目的の政党がウケることも多いわけです。海外ではあちらこちらの国にある「緑の党」がその好例でしょうか?大手自動車メーカーはさまざまな種類のクルマを出すけれどテスラはEV一本勝負でした。これはマスク氏が会社を立ち上げる際に大きな議論になったと何かで読んだことがありますが、結局それが勝利したのはわかりやすさと全員をターゲットにしていないことではないでしょうか?

個人的には日本の政治は大変革期にあると思います。世代交代が進みつつあることもあるでしょう。投票する人に定年のような年齢制限はありません。が、死んでしまったらさすがに投票は出来ません。いままで支えた政治のスタイルが昭和型だとしたら平成型から令和型に移行を進んでいく時の風を感じます。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年1月7日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。