黒坂岳央です。
世の中、挨拶もそこそこにとにかく値切ろうとする人がいる。業界によっては「値切られる前提の価格」がつけられていることもあり、十把一絡げにすべてがダメだとは言わない。
だが、「ダメ元で値切ってやれ」という態度の人に「いいお客さん」は一人たりとも見たことがなかった。
自分が歪んだものの見方をしてはいけないと考え、検索してみるとビジネスをする人の傾向として「値切る人にいい相手はいない」という意見がたくさん見られた。中には「値切られた時点でその相手には絶対に売らない」という人もいる。
なぜ値切り交渉の相手に売ってはいけないのか?
値切る人はこちらをなめている
端的にいって、値切り交渉をする人の多くはこちらを軽く見ている事が少なくない。口調を選ばずにいえば「なめている」のだ。
「ただか値切りでそこまで言わなくても」と思うかもしれない。だが冷静に考えてほしいのだ。彼らも高級ブランド店や大のお得意様相手に値切るだろうか?と。彼らもそんなことは絶対にしないはずだ。値切れるわけがないと分かっているからである。
また、メルカリなどのフリマで「◯円になりませんか?」「セット購入で安くなりませんか?」とセコく値切る人たちも、同じことを「職場の上司相手」には絶対にやらない。
つまり、値切ってくるということは、「あなたを軽く見ています」と宣言されているようなものである。正直、値切られた側の心理として気持ちの良い人はいないだろう。値切る側は「買う意欲を見せれば売りたい意欲を刺激してあわよくば安く手に入るかも」と思うかもしれない。
だが、「売る顧客層はしっかり選びたい」と考えてマーケティングするビジネスマンにとっては、相手から値切られた時点でターゲット顧客でなくなるので、「すいません、ちょっと今在庫を切らしていまして」「すでに他のお客様で手一杯で」と体の良い言い訳で販売をお断りする人もいる。
値切る人は本音では買う気がない
お客さんには2種類いる。お金を支払う人と、あれこれと口を開くだけの人だ。
たとえば有名YouTuberを熱心に追いかけ、ライブがあれば遠くでも参加し、グッズを買い漁る。そうしたお金を支払うお客さんの多くは寡黙であまり口を開かない。
一方でコンテンツ消費そのもので満足する人は、たくさんのコメントを送り、SNSでの投稿も頻繁だが絶対に財布を開かない。10年追いかけても1円も使わない、という人もたくさんいる。
そして後者のタイプは「こういうライブをやってください。その際5000円以内だと行けるかもしれません」みたいに細かくリクエストを出し、いざ念願かなってそのようなライブが開かれても絶対にいかない。筆者はライブではないものの、似たような経験は何年もしてきた。
値切り交渉の話に戻るが、やたらと値切る人は値切ってくるばかりで心底その商品を買いたいと思っていないことも多いと考えている。彼らは交渉そのものが目的化していることも多い。いざ、希望の値段を提示しても「検討します」で二度と帰ってこない人も多い。なぜなら、本当に欲しい場合は悠長に値切り交渉などしていれば、他の人に買われてしまうからだ(早い者勝ちのメルカリなどは顕著)。
以上のことから、しつこく値切り交渉をしてくる相手ではなく、黙って商品サービスを買ってくれるお客様こそ時間を使って丁重に対応するべきなのだ。
値切る人はクレーマーになる
最後の理由として、値切り交渉をしてくる人はクレーマーになる可能性が高いと思っている。もちろん、人はあまりにも多様であり必ずそうなるという話ではないし、統計データなどを用意できるわけもない。あくまで個人の肌感覚の話ではあるものの、そう的外れではないと思っている。
自分はサラリーマンから独立後も色んな仕事をして色んなお客様とコミュニケーションを取ってきたが、細かい点にうるさく苦情をいってくるのは買う前に値切り交渉をしてきた人が少なくなかった。
携帯電話の販売の会社で働いていた時は「これホンマの値段はいくらや?」とか「セットでイヤホンマイクつけてや。原価安いんやろ?」みたいに言われたりした。いざ買っていくと「あれやけど買った後に調子が悪い。別の新品に変えて」みたいに言ってくる。
自分の経験から感じたこととして、「値切り交渉」という時間も手間もかかる面倒な作業を少額を浮かせるために使ってしまう「時間単価の低い人」は、クレームという非常に面倒な作業も軽々出来てしまう可能性が高いということだ。しかし、それをされるとこちらはたまらない。だから潜在的なクレーマーの可能性を感じ取ると、その相手に売りたくなくなってしまうのだ。
◇
以上の話はあくまで自分の過去の経験から導き出した持論だが、まったく外れているわけではないと思っている。特に経営者やフリーランスなど、時間単価を意識する属性の人は販売する相手は吟味した方が良いだろう。
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