トランプ大統領が就任し、公約通り地球温暖化対策の国際枠組みである「パリ協定」から再び離脱することを発表しました。
トランプ大統領は、同協定を「アメリカの製造業に不利」と批判し、前政権で推進された再生可能エネルギー政策を「気候過激主義」と位置づけ、化石燃料の採掘を拡大することと、風力発電所へのリースを終了させることを表明しました。
また、就任演説では「エネルギー緊急事態」を宣言し、石油の増産を訴え、エネルギー価格の引き下げを高インフレ対策の柱に据える方針を示しました。
アメリカでは、2050年までに原子力発電の容量を200GW追加し、現在の約3倍にする計画が発表されています。
先日発表された日本の「第7次エネルギー基本計画」ですが、2040年度の電源構成を、再エネ4〜5割、原子力2割、火力3〜4割としており、再エネ偏重の日本のエネルギー政策は世界の流れに完全に乗り遅れています。
パリ協定は、産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑えることを目標として掲げており、アメリカの離脱が国際協力に影響を与えるのではないかと日本のマスメディアは懸念しています。しかし、パリ協定の実態を詳しく知れば、そこからの離脱は当然の結果と言えます。
第一次トランプ政権でのパリ協定脱退も、日本のマスコミ各社は批判をしていましたが、今回は変わることができるのでしょうか。
日本もパリ協定から脱退するべきだとの意見があります。この協定が日本の国内産業を弱体化させる一方で、賦課金や税金で「再エネ利権」を潤わせる結果になっていると懸念されています。
排出量上位の国々が「対策」を講じない中、日本が脱炭素化に税金を始め多額の資金を投入する意義が疑問視されています。税金の使い道として適切ではないうえに、日本が国際的に取り残される懸念もあります。
かつて京都議定書に基づく削減目標において、日本は不利な条件を受け入れ、ロシアや中国から「排出枠」を購入する形で1兆円以上を費やしましたが、その結果として目立った成果を得ることはできませんでした。トランプ大統領がパリ協定から脱退すれば、世界的な流れが変わり、莫大な費用を投じる脱炭素化政策に対して批判が高まることが予想されます。
京都議定書は、日本の製造業を抑えるためにEUが仕掛けたもので、EUは東欧統合で容易に削減を達成した一方、日本は排出量増加により中国から1兆円で排出枠を購入しました。同様に、パリ協定もEUが不利を回避するための仕組みとされ、日本が再び同じ過ちを繰り返す懸念があります。