パソコンやスマホは、非常に便利なツールです。スケジュール管理アプリもたくさんあります。しかし、手帳がもういらないわけではありません。むしろ、これからの時代こそ、手書きの手帳が重要なのです。
「文房具ソムリエの手帳時間」(石津ヒロシ 著)秀和システム
[本書の評価]★★★(72点)
【評価のレべリング】※ 標準点(合格点)を60点に設定。
★★★★★「レベル5!家宝として置いておきたい本」90点~100点
★★★★ 「レベル4!期待を大きく上回った本」80点~90点未満
★★★ 「レベル3!期待を裏切らない本」70点~80点未満
★★ 「レベル2!読んでも損は無い本」60点~70点未満
★ 「レベル1!評価が難しい本」50点~60点未満
「手書き」は〝脳のインフルエンサー〞
手帳の役割は、スケジュールを書き留めるだけではありません。手で書くことは、情報を脳にしっかりとインプットするためにとても重要と著者は言います。
「手書きのほうがタイピングより学習効果が高いというのは、今や世界各国の大学や研究機関で証明されています。米国プリンストン大学のミューラーとUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)のオッペンハイマーは、2014年、PCだけでメモを取ると、新しい知識を吸収しづらくなるという結果を報告しています」(著者)
「手書きで文字を書くという行為は、五感をフル稼働し、記憶情報の処理を促進する脳の活動です。たとえば、あなたが手書きで日記を書いたりメモをしたりすることを想像してみてください。これを読んでいる今、昨日の出来事を振り返って、紙にメモしていただいてもかまいません。手書きという行為は、脳の統合的な活動とおわかりでしょう」(同)
PCやスマホでは、人工的な機械に触れたような触感しか得られず、視覚や味覚の情報を振り返る時間もないままテキストができあがると著者は言います。
「作業中は無味無臭、機械音のみが流れます。しかも、漢字や文章表現がわからなくても、パソコンやスマホが調べてくれます。あなたが思考しなくても文を書いてくれることもあります。これでは、メモのスピードは速くても、脳を活性化しているとは言えないですよね? 脳は、臓器の中ではもっともエネルギーの食いしん坊で、摂取した栄養分の約25%を消費します」(著者)
「その消費をおさえるためか、脳はつねに省エネをおこないます。つまり、ていよく活動をなまけようとするのです。書きは、そんな〝なまけグセ〞のある私たちの脳に対して、やさしく活動をうながす〝脳のインフルエンサー〞の役割を果たすのです」(同)
本当の手帳の使い方とは
年末から年度末になると、大手書店や百貨店には新作手帳の販売コーナーが設営されます。多くの人は手帳をスケジュール表として使っています。しかし、単なるスケジュール表としてではなく、目標管理ツールとして活用している人もいます。
私自身も、手帳に目標を書き込むことの効果を実感しています。毎日目標を目にするようになって時間のムダ遣いが減り、将来に向けたアクションを起こせるようになります。お付き合いのある経営者の中には、10年前から手帳に「上場」と書き続け上場した人もいます。
手帳に記した目標に向かって、着々と進んでいるのです。目からの刷り込み効果は、なかなかのものです。手帳は自分だけのバイブルです。逆に決して書き記したくないのは、仕事の愚痴や人の悪口。あとにも引きずりやすくネガティブな事柄です。手帳をデスノートにしてはいけません。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
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2年振りに22冊目の本を出版しました。
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