利害が一致しない人の意見は聞いてはいけない

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海外不動産投資を始める人が失敗するパターンの1つは、投資すべき国の選択を間違えてしまうケースです。

例えば、カンボジアとフィリピンで迷っているとします。こんな時に誰かに頼りたくなって、ついフィリピンの不動産会社にどちらが良いですか?と聞いてしまったりするのです。

考えるまでもなく、この質問は聞く相手を間違えており意味がありません。自分が扱っているフィリピン不動産を売りたいからフィリピンが良いというに決まっているからです。

彼らの目的はフィリピン不動産を買ってもらうことであって、投資に向いた国の不動産を買ってもらうことではありません。販売者と投資家の利害が一致しないのですから、そんな人の意見を聞いてはいけないのです。

国内不動産投資に関しても、最近似た経験をしました。

都心に保有している。ワンルームマンションの賃借人が退去になったので新たに募集しようとしたのですが、管理会社は今までの家賃と同じ家賃での募集を提案してきました。

家賃が上昇傾向なので、その意見を聞かず2000円引き上げて募集したのですが、それでも1週間ほどで申し込みがあって決まってしまいました。家賃設定が安すぎたということです。

管理会社は空室期間を短くすることを考えて行動します。オーナーが家賃を高くしたいと思うのとは利害が一致しないのです。

不動産投資に限らず長年の信頼できる関係を構築するためには、「利害関係の一致」がとても重要になってきます。

自分がやろうとしていることが相手のメリットになり、相手のやろうとしていることが自分にとってもメリットになる。そのような関係になっていれば、お互いに安心して相手の意見に耳を傾けることができます。

人間関係がうまくいかなかったり、仕事上の行き違いによるトラブルは、利害が一致しない状態を続けていた時に発生するものです。そのことによって不必要なストレスや問題解決にかかる時間を費やすのは避けるようにしたいものです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年1月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。