28日に起きた埼玉・八潮市の陥没事故の復旧作業が難航しています。消防は、転落した男性を救助するため、穴の中に重機を投入する方針を決定し、そのためのスロープを設置する工事に着手しました。事故現場は八潮市役所から約300メートルの交通量の多い交差点で、警察は周辺道路の通行を規制しています。
28日午前、埼玉県八潮市の交差点で道路が陥没し、男性が乗ったトラックが転落しました。消防によると、男性は呼びかけに応じていますが、運転席が土砂に埋まっており、壁面の崩落が続いているため、救助は難航しています。
埼玉県によると、陥没の原因として、下水道管の腐食により地中に空洞が生じていた可能性があるとみて調査を進めています。1983年から使用されている下水道管は、2021年度の定期調査では深刻な腐食は確認されていませんでした。しかし、下水道管の腐食によって穴が生じ、そこに土砂が流れ込み空洞が拡大し、車両の重みに耐えきれず道路が陥没した可能性があるとのことです。また、下水に含まれる有機物から発生した硫化水素が硫酸となり、管を溶かした可能性も指摘されています。
また、破損した下水道管に土砂が流入し、下水の流れが滞っている恐れがあり、このまま下水がたまり続けると逆流し、マンホールなどから溢れ出る可能性があります。そのため、県は八潮市やさいたま市、川口市など9市3町の住民に対し、下水道の使用を控えるよう呼びかけています。
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現場では懸命な復旧・救助作業が続いています。
15年前に「税金による公共事業を不要とする」ような風潮が広まった結果、本来であれば適切な調査や修繕が必要なインフラが十分に維持されず、建設業者の減少とともに老朽化したまま放置されてしまった、という怒りの声が聞かれます。
「コンクリートから人へ」だけでなく、これまで人口の少ない地域にも多額の税金を投入し、必要性が低いインフラを整備しつづけてきたことが、現在の問題の要因のだという指摘もあります。
ただし、今後は人口が少ない地域のインフラ維持を断念するという判断がますます不可避となると考えられます。
それでもさらなる「コンクリートから人へ」を主張する人もいます。やっぱり地獄への道は善意で舗装されているのかもしれません。