マスコミの印象操作に注意!「数」と「割合」の使い分けを見抜け

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マスコミが数を持ち出してきたら割合を見る、割合を出してきたら数を見るの教えは、今回も実に有効だなあ。

【数】
・ マイナ保険証の解除申請、累計で5万8000件に!
・ 1月は1万件超える!

【割合】
・ 新たな利用登録は87万3386件増えて、累計の登録数は8153万414件なので、1月の解除申請率は「1.5%」、累計の解除申請率は「0.07%」!!
・ 日本国民全体でみた場合、マイナカード保有率は「77.6%」、マイナ保険証登録率は「65.9%」である一方、解除率は「0.05%」!!

昨今、「PVさえ獲得できれば、ミスリードなど知ったこっちゃない」と言わんばかりの「釣り見出し」が頻繁に目につきますね。それもオールドメディアが堂々とやらかしてるんだから、報道機関としての矜持はどこに行ったのか? とゲンナリするばかりです。

本記事も「解除申請数」だけを大仰に見出しに持ってきて、さも「こんなに多数の解約件数が!!」「マイナ保険証も政府もダメダメだ!!」と糾弾せんばかりですが、ご覧の通り、マイナカードを身分証や保険証として日々活用してる人が日本国民の大多数であり、解除者は割合からみればごくごく少数。累計でも2000人に1人くらいの割合なんで、まあそれくらいなら卦体な人がいてもおかしくないでしょう。

しかも、元記事を見てくださいよ。「解除申請がこんなにたくさん!」「解除したい人!やり方はこう!」とツラツラ書いておいて、デカい広告で記事をぶった切ってから最後2行だけ「新規登録者は増えてる」よと。わざわざこの位置に広告を配置するところが、毎日新聞らしい陰湿さを感じますね。

どうしてもマイナカードを問題視したいんだったら、こんな姑息な釣り見出しとかじゃなくて、「デジタル推進などと言いながら、電子証明書の更新のお知らせは郵送だし、手続きも結局役所窓口に出向かないといけないのはアナログではないか?」みたいな方向で問題提起してほしいものです。

ぜひ記者の皆さん方は、改めて「新聞倫理綱領」の「自由と責任」(重い責任を自覚し、公共の利益を害することのないよう、十分に配慮しなければならない)や「正確と公正」(報道は正確かつ公正でなければならず、記者個人の立場や信条に左右されてはならない)を読み返し、公共利益に資する、真っ当な報道をお願いしたいところです。


 

(編集部より)この記事は、新田 龍@nittaryoのポストを、許可をいただいた上で転載いたしました。