23日に実施されたドイツ連邦議会選挙の結果、最大野党であったキリスト教民主・社会同盟が第一党に躍り出ました。与党は敗北を喫し、首相の交代は確実な情勢です。
選挙後は、キリスト教民主・社会同盟の党首であるメルツ氏が中心となり、与党であった社民党との「大連立」をゴールとした連立交渉が進められていく見込みです。
極右政党と揶揄されるドイツのための選択肢(AfD)は議席を倍増させ、既存政党への有権者の不満が可視化される結果となりました。
AfDアリス・ワイデル党首インスタグラムより
アラブの春を契機とした移民の大量流入により、治安が悪化し、社会が混乱しているという実感が相当数のドイツ有権者の間で広まっています。
難民による犯罪がクローズアップされることで、有権者は移民・難民の制限を求める声が高まっています。
今回の総選挙の盛り上がりは高い投票率に表れています。
旧東西ドイツの境界線を境に、総選挙での投票先が真っ二つに分かれています、冷戦の記憶が今もドイツ政治に影響を及ぼしています。
また、AfDを投票先に選んだ旧東ドイツに住む地域の人々が、旧西ドイツと比較して経済的に恵まれないことを鑑みると、東ドイツを覆っていた共産主義の恐ろしさを実感することができます。