ミャンマー国境の一大詐欺拠点で何があったのだろう?

タイとミャンマーの国境に近いミャンマー側のジャングルの中にこつ然と現れる住宅開発地、そしてカジノホテルらしき建物群。そこに中国系マフィアグループの巨額資金が投入され、数千人から1万人近くの外国人が監禁、軟禁され、詐欺をやらされていた…、これはかつての奴隷に対する強制労働ではないかと思ったのは私だけでしょうか?

ノルマを達成できないと電気ショックや拷問、更にミャンマーの巨大裏市場である臓器売買への恐怖が待ち構えています。そしてそこには日本人も20名ぐらいいるのではないかとされています。

ミャンマー国境で外国人260人を保護したタイ軍 NHKより

かつて新宿 歌舞伎町は日本のヤクザが仕切っていました。その頃、悪さの中に一定の秩序があったのは事実です。なぜならヤクザには仁義があり、基本的には一般人に理由がない限り悪さをしないとされていたからです。ところがその歌舞伎町はベトナム系、中国系、韓国系など様々なアジアのギャングが入り込み、日本のヤクザが弱体化し、統率が取れなくなります。また警察は日本のヤクザ摘発に一生懸命だったため、半グレを含めた仁義という教育を受けていない無謀な連中の草刈り場となります。その頃聞こえてきたのが「昔の歌舞伎町なら金を払えば終わり。今じゃ命があるかどうかわからない」でした。外事関係を扱う警察小説にもよくできてきますが、中国系やベトナム系マフィアは人の命など何とも思わない怖さがあるのです。

想像ですが、ミャンマーの組織でも同様の拷問が待ち受けていたのでしょう。中国を中心にアジア各地から「おいしい話」につられて同施設に送り込まれ、唖然とする待遇を受けるのです。

今回、ミャンマーの国境を警備する「国境警備隊(BGF)」がそれら施設に突入し、監禁されている外国人を次々と開放している状況でその数2285人(NHK)に達していますが、まだ相当数が監禁されているとされます。同地域の電力、燃料、インターネット回線などのインフラはタイから供給されていたのですが、タイ当局がそれを止めても、衛星通信によるインターネットを使い、国境を越えてタイにガソリンを入れに来るなど詐欺グループは抵抗を続けている模様です。

中国系マフィアとされるグループの一つが「KKパーク」、そしてそのグループが国境警備隊BGFと蜜月の関係だったことは判明しており、今回なぜ、そのような摘発に動いたのか、その真の理由が気になるところです。報道からはタイ側からの圧力にも見えますが、真相が知りたいところです。ミャンマーの同国境地帯はミャンマー中央政府からは遠いため、国境警備隊に「おまかせ」でそこで利権が動いた可能性はあると思います。

ところで日本で最近話題になっている海外発のオンラインカジノ。当然ながらこの拠点でも行っています。オンライン賭博は世界中あらゆるところに拠点があるので日本人有名人が謝罪に追い込まれたゲームがどの国のゲームかはわかりませんが、このような組織の資金源になっていた可能性も当然あります。

また日本人がどうやってそのような拠点に連れていかれたかという点は、ゲームのチャットなどから誘導されているケースもあり、「もっと稼げる」という甘言に乗ってしまったのでしょう。拉致監禁されてミャンマーに連れて行かれるのは現実的ではなく、基本的には自主的に誘惑に負けてそこまでたどり着いたのだろうと思います。まぁ、親からすれば「何とも信じがたい事実」なのでしょうけど、お金にまつわる事件は何時の時代も全く同じなのです。人間のあくなき欲望、そして導かれたそこには地獄が待っているというわけです。

自業自得と言ってしまえばそれまでですが、それを利用しようとする海外の巨大勢力がこんな形で発覚するとは驚き以外の何物でもありません。人の弱みに付け込み、詐欺の片棒を担がされ、詐欺というノルマを課せられる、なんという世界なのでしょうか?日本は平穏な国だけに平和ボケ、国際感覚の違いを意識してもらいたいものです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年2月24日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。