「"本当"に頭がいい人」の話し方の特徴

黒坂岳央です。

仕事をしていると「この人は頭が良いな」と感じさせる人がいる。その一方、長々と話を聞いても何を言いたいかまったくわからない人もいる。両者の違いはどこにあるのか?

よくある「結論から話す」「相手の理解度に応じて話のレベルをコントロールする」といったものは、もはや誰もが知っている話なので割愛する。

本稿ではあまり取り上げられない、筆者が考える彼らの特徴を独断と偏見で取り上げたい。

FangXiaNuo/iStock

1. ムダ話をしない

頭が良いと感じる人と会話していて感じることは、自分が言いたいことは言わず、その場で必要なことしか発言しない。「必要なことを最小限」、これが彼らの話し方の特徴である。

では、なぜ彼らは「最小限で発言する」のか? それは、いきなり長々と話しても相手の興味度合いがわからないからだ。故にまずはジャブを打ち、相手が話に興味を持つかどうかを探るのだ。相手が食いついたら改めて詳しく話す、それほどでもなければ次の話題へというスタンスだ。

「自分が言いたいことを控えて、必要な話だけをするなんて当たり前では?」と思われるかもしれないが、意外とそうでもなく「自分が言いたいことばかり言う人」は驚くほど多いのだ。

会社で課題解決の議論中に「そういえば僕もこんな悩みがあって」みたいに自分の悩みを話し出して議論を脱線させてしまう人は意外と多い。

プライベートはともかく、仕事については本題に関係ないことを話すべきではない。ムダな情報量を増やすと全体の効率が落ちる。自分が言いたい話はプライベートでするべきだ。

頭がいい人は情報の取捨選択が上手なので、必要なことしか言わない。

2. 話を深掘りする力

話を簡潔にまとめる力がある人は、当然ながら話を深める力も持っている。では、彼らはどのように話を深掘りしているのか?

「話を深める」と言っても、「縦に掘る」方法と「横に掘る」方法の2種類がある。彼らは横と縦の両方に深く掘り進める力を持っている。

① 横に掘る

トピックに派生して、関連する話題に広げることをいう。

たとえば「日本の少子化問題」についていえば、

「少子化の話をすると、当然ながら労働力人口の減少が問題になる。(関連話題①)
労働力が減ると、企業は生産性向上のためにAIやロボットの導入を進める。(関連話題②)
一方で、高齢化社会が進めば、医療や介護の負担が増え、財政問題も深刻になる。(関連話題③)

「少子化→労働人口→AI導入」と幅広く多面的に議論をするイメージだ。

② 縦に掘る

トピックをより細かく・専門的に掘り下げていくことである。

「日本の少子化が進んでいる理由を掘り下げると、単なる経済的な問題ではなく、ライフスタイルの変化も大きく影響している。(概要)
例えば、未婚率の上昇は価値観の変化によるもので、結婚=幸せという固定観念が薄れてきている。(深掘り①)
また、女性の社会進出に伴い、育児とキャリアの両立が難しくなっている。(深掘り②)
さらに、都市部では住宅費が高く、子育て環境の確保が難しい。(深掘り③)

「少子化→未婚率の増加→価値観の変化」と1つのテーマを「より細かく」「より本質的に」深めるイメージだ。

彼らの話は立体的でどこまでも深く、議論に必要な情報は完全に整理され網羅性も高い。もはやそれ以上議論の余地なく「もうこれが答えでしょ」と相手に感じさせる力を持っている。

3. 常に本質を追求する

深掘りできる人は、単に情報を多く持っているだけではない。彼らは、得た情報の中から「何が本質なのか?」を見極めることに長けている。では、彼らはどのようにして本質を見抜くのか?

頭が良い人は表面的な答えらしきものに興味を持たない。大衆やインフルエンサーの意見もそのまま受け取ったりはしない。

彼らはまず自分の頭で仮説を立て、一見答えのような結論が見えても簡単に考えることを諦めず、「本当に正しいか?」「これは表面的なもので、本質は別にあるはずだ」と知的体力と好奇心が旺盛なのでひたすら掘り進めていく。だから彼らの話は重みがあるし、説得力が全く違う。

その逆にそうでない人は課題に対して、自分の頭で仮説を立てず、いきなりネットで答えを探し、それっぽい答えを見つけたら「インフルエンサーがいっているし、高評価が多いので間違いないだろう」と思考停止して疑いなく飛びつく、という行動だ。

賢い人が自分の見解や仮説を説得力高く話す一方で、そうでない人は「有名なあの人がいっていた」と「他人の意見」を話す。そこに自分の見解はない。

つまり、賢い人は「本質」を求め、そうでない人は「大衆の意見に乗ること」という異なる答えを求めているという点にあるということだ。

本当に賢い人と、賢そうに見える人は違う。賢そうに見える人は、論理的な話し方やプレゼン技術を磨くことで知的に見せることができる。しかし、本当に知力が高い人は、それだけでは到達できない深層領域まで自力でたどり着く。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。