パート従業員「年収130万円の壁」対策の財源は他の社員の社会保険料?

厚生労働省は、パート従業員の社会保険料を中小企業が肩代わりできる特例について、企業が負担した保険料を全額還付する方向で調整を進めています。当初は8割の還付を想定していましたが、公明党の要望を受け、全額還付へと引き上げることになりました。

厚生労働省は、パート従業員の社会保険料を企業が肩代わりできる特例について、その負担分を全額還付する方針を示しています。その財源として社会保険料を活用する予定です。

具体的には、ほかの被保険者(正社員など)が納める社会保険料の一部が充てられる可能性があります。つまり、パート従業員以外の社員も間接的に負担することになる仕組みと考えられます。

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正社員の給与は増加しているものの、それ以上に社会保険料の負担が増えており、手取りの収入が増えない状況です。名目上の給与が上がっても、社会保険料の引き上げによって実質的な収入の向上にはつながらないため、意味がないと考えられます。社会保障給付の見直しなしに抜本的な改革を行うことは難しいでしょう。

すでに少子化対策として計上された3兆円のうち、すでに1兆円は社会保険料の上乗せによって賄われることになっています。社会保険料が打ち出の小槌になってしまっています。

「年収130万円の壁」対策として、パートの労働時間や賃金を増やした企業に1人当たり最大75万円を支給する助成金制度の拡充も検討されているとのことです。この財源にも社会保険料があてられると思われますが、負担格差は広がるばかりです。