黒坂岳央です。
昨今は空前の独立・副業ブームである。
「収入を増やすために副業をしたい」「独立して稼いでいきたい」という願望を持つ人は多い。だが、現実的にこの生き方には適性が求められる。向いていない特徴を持つ人もいるが、それは「克服できない壁」ではなく、「乗り越えるべき課題」として考えることが重要だ。
今回は、成功するために必須といっていいスキルを取り上げる。これから独立や副業をしたい人の参考になれば幸いだ。
Giulio_Fornasar/iStock
1. 営業できない
サラリーマンと独立とで仕事の起点は大きく違う。
サラリーマンは仕事が上から降ってくる。一方で独立すると自分で営業して売上を作るしかない。正直これが最大の違いといっていいかもしれない。
「好きな仕事をしたい」という理由で独立を考える人も多い。だが、独立すると「好きな仕事+営業」が絶対に必要になる。ラーメン屋で起業する人はラーメン作りは得意でも、営業ができなければ当然存続できない。ラーメンを提供したくても、お客さんを呼んでこないと何も始まらない。
しかし、営業は技術なので努力すれば誰でも身に着けられる。「勉強してまで学びたくない」「営業なんて絶対嫌だ」と思うかもしれないが、少しずつ身につけていけば誰でも営業力は身につく。
たとえば、積極的に情報発信者になりビジネスを認知してもらったり、上手にSNSをビジネス活用をして信用を作っていくなどだ。
2. 受け身・指示待ち
サラリーマンは上司から仕事が降ってくるという性質上、指示待ちでも務まることが多い。だが、独立すると自ら仕事を取りに行く姿勢が求められる。
独立すると外圧や義務がなくなるため、何日も仕事をせずにボーっとすることもできるし、好きな時に海外旅行にもいける。だが、独立や副業で成功する人ほど、自らの意志で仕事に取り組み続けるものだ。
筆者自身も、家事育児をしながら毎日、早朝から夕方まで仕事をしている。サラリーマン時代よりもよほど主体的に行動している。その理由は「止まったら終わり」と考えているからだ。
例えば、YouTube動画投稿やブログ記事執筆は、更新を止めるとアルゴリズムがおすすめしなくなるため、急速にアクセスが減少する。その間に競合がさらに魅力的なコンテンツが発信し続けることで、後から取り戻せなくなる。
クライアントワークでも、常にスキルを磨いて付加価値をつけなければ競争に負ける。予算削減で仕事が打ち切られることもあるので、新たな取引先を開拓する力が求められる。
受け身ではなく、「自分から仕事を生み出す力」を意識して鍛える必要があるだろう。
3. リスクテイクできない
サラリーマンは勤務先と経営者がリスクを取り、その結果獲得した仕事をこなすという立場なので、リスクテイクの機会は少ない。だが、独立すると積極的なリスクテイクが必要になる。
ここでいう「リスクテイク」とは、大規模な広告宣伝費を投下することだけではない。新たなテクノロジーを取り入れる、生産性向上のための自己学習、新たな施策に挑戦することも含まれる。
正直、こうしたほとんどの試みは失敗に終わる。筆者も日々、様々なリスクを取るが、多くは失敗する。だが、たまにドカンと当たりが出ることでトータルで利益を生む。
リスクが怖いからといって過去の成功パターンを繰り返している限りは、確実にジリ貧になる。周囲の競合や顧客はその間に進化しているので、相対的に自分だけが取り残されることになるからだ。
リスクを最小限に抑えつつ、新しい挑戦を続ける姿勢が重要だ。
4. 完璧主義者
サラリーマンは「総合採点」で評価される。どれだけ仕事ができても、職場の人間関係や振る舞いが悪ければ評価されにくい。一方で独立すると「成果物採点」の世界になる。
たとえば、クリエイターなら、漫画、アニメ、ゲームなどの作品が他者が真似できないレベルに素晴らしければ、多少、人間性や身だしなみに問題があっても評価される。結果がすべての世界だからだ。
しかし、完璧主義すぎると、いつまでも成果物を世に出せないという落とし穴がある。
たとえば、ブログを始めようとしても、デザインやテーマ決めに時間をかけすぎて記事を出せない。YouTube動画を撮ろうとしても、編集の細部にこだわりすぎて公開できない。これではチャンスを逃してしまう。
「70%の完成度でもまずは公開してしまい、マーケットのフィードバックを見ながら改善しながら進める」という意識が、独立では非常に重要になる。
◇
起業や副業で必要になるスキルは、生まれ持った才能というより後天的に身につけられるものが大半だ。今回取り上げたものも、「指示待ちタイプではない」という点を除けば、自分も元々できなかったものばかりである。だが独立に際して必要だと感じて1つ1つ学習してスキルとして身につけていったのだ。
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